本書は、デイヴィッド・バーセリ著『Trauma Releasing Exercises: A Revolutionary New Method for Stress and Trauma Recovery』(2005年初版)をもとに再構成したものです。
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〝震え〞は動物が生きていくために備えられた原始反応のひとつ
ライオンに襲われそうになったガゼルは身の安全が確認できても震えが止まりません。ですが、しばらくすると震えが収まって、何事もなかったように仲間と元気に水を飲み始めます。
みなさんもおうちにいるネコやイヌが花火などの大きな音で震えているのを見たことがありませんか? 動物にとっての〝震え〞は、原始反応のひとつ。〝震え〞は、ショッキングな出来事が起きたときに過度の緊張を緩め、過剰につくられた化学物質(ホルモン)を排出するための自然な機能です。
しかし、人間は進化の過程で〝震え〞に対してネガティブな意識をもつようになってしまいました。必要なところで無意識に抑制しているため、トラウマやストレスを排出できずに、抱え込んでしまっているケースが多いのです。
つらい過去も、生きづらい今も乗り越えられる!
著者であるバーセリ博士も、戦地や被災地での支援を続ける中で、トラウマによるPTS症状に苦しんだ時期がありました。その体験がトラウマのメカニズムの解明と、トラウマ解放エクササイズの開発に至ったのです。
ほとんどの人は善良に生きてさえいれば、自分の人生にトラウマ体験が降りかかると思っていません。ですが、トラウマは人を選びません。自然災害、戦争、事故、病気、DV、モラハラ……、
だれの元にもトラウマは訪れる可能性はあります。本書が紹介するTREは、腹部の奥の神経回路を呼び起こし脳にまでアプローチするエクササイズです。「震え」ることで、自分の中にある「回復のための本能」を実感し、とぎれてしまったからだと心の信頼関係を結び直すことができます。
トラウマやストレスの理由や原因は問わないこと、一人で、安全に行うことができるのもポイントです。
トラウマ、PTS、PTSDを正しく理解して受け入れる社会が求められている
体内のホルモンの変化によって、一個人の人格が極から極へと揺れ動きます。つまり、トラウマを抱えた人は、朝、社交的であっても、昼には抑うつになって孤立してしまうことがあるのです。
トラウマは心身に強い衝撃を受ける体験をしたときに生じます。またPTS(Post Traumatic Stress:心的外傷後ストレス)はトラウマによって引き起こされる症状、反応、行動のことで、本書では「トラウマ反応」とも表現しています。日本でも広く認知されてきた「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」は医師によって診断を受けた場合の病名です。また、近年新たに、PTSDの基準では拾いきれないトラウマ症状に対して、C-PTSD(複雑性PTSD)という新しい診断名がつくようになりました。
トラウマを抱えた人々は、否定的な言葉や体験に過剰に反応することが多いといわれる一方で、抑うつ状態のときは、肯定的な言葉や経験に対して反応が鈍くなります。人への執着やこだわりが強くなったり、過剰に社交的になったりする反面、うつ状態になると自ら人間関係から遠ざかり、社会的に孤立するようなケースもみられます。
いつだれがそのような状態になってもおかしくない社会で私たちは生きています。本書は、トラウマやPTS、PTSDを抱える人の理解や支援にも役立つ内容もお伝えしています。
特別な人のための特別なエクササイズではありません
一つひとつのかんたんなエクササイズをこなしていくことで腹部の奥の腸腰筋に負荷をかけていきます。そうすると、最後に体の内側から震えが起きて、体と脳の回路をつなげてくれます。続けるうちに、自分の中の変化を実感するようになります。
TREのエクササイズは、トラウマ、PTSDなど、他人にはなかなか相談できないような重い心の傷を抱える人、生活習慣病やメンタルの不調、生きづらさを感じる人、病後・術後のケア、腰痛、便秘、冷え性、むくみ、更年期障害……など、さまざまなトラブルにも効果を発揮します。また、日々の体調管理にも使えます。
ストレスで張り詰めた神経を緩め、明日を楽にしてくれます。眠る前に行う小さな習慣としてもおすすめです。
もくじ
はじめに 2
序 人類はトラウマを乗り越え成長してきた 14
トラウマ解放エクササイズで得られる効果 24
第1章 トラウマ、トラウマ反応(=PTS)の正体
トラウマ、トラウマ反応(=PTS) 26
体験なしでも起こる「代理トラウマ」と「共感疲労」 33
アドレナリンの増加とセロトニンの減少 38
スローモーションをつくりだすオピオイド 40
揺れ動くトラウマ反応 43
緊急時、優先すべきは〝直観〟=腹部の脳 46
トラウマと腸腰筋 50
トラウマは脳を迷わせる 54
トラウマによる偏見は、本能の防衛反応 60
トラウマは人を選ばない 66
考えてみよう!
なぜ、社会はトラウマを認めたがらないのか 68
第2章 トラウマ、PTSの乗り越え方
なぜ、自分をコントロールできないのか 72
「手放す」ということ 75
トラウマを自分史に組み入れる 82
人生を再統合する 87
自殺念慮を癒す〝からだ〟へのアプローチ 90
幼少期のトラウマは時間をかけて 96
column
1 C-PTSD(複雑性PTSD)の新設 102
2 企業が知ってほしいトラウマ体験者の苦しみ 106
第3章 やってみよう! 7つのエクササイズ
7つのエクササイズを始める前に 108
安全か中止からの判断ポイント 110
エクササイズ#1 112
エクササイズ#2 114
エクササイズ#3 118
エクササイズ#4 125
エクササイズ#5 130
エクササイズ#6 134
エクササイズ#7 137
振動の止め方 142
「今ここ」に戻る 144
TREについてのQ&A 146
考えてみよう!
国際紛争の解決とトラウマ「なぜ平和を実現できないのか」 154
TRE免責事項 158
第4章 体験者レポート
1 医者をやめようと思ったときに救ってくれたTRE 160
2 検査結果が証明したTREの効果 164
3 セルフケアで得た本来の力で生まれ直す 168
4 暗いグレーから明るい白の世界に 172
5 娘から「もう大丈夫なんだね」と言われました 175
6 人はみな、回復する力をもっている 178
7 「本来の私」にやっと会えた 182
おわりに 185
TRE®に関するリサーチ、出版物、学術論文など 190
本書の参考文献 191
著者プロフィール
デイヴィッド・バーセリ Davi d Be r c e l i , Ph.D.
トラウマおよびストレス緩和の分野における国際的なセラピスト。被災地や戦地での長年の経験を通じて、身体に蓄積されたトラウマ、PTSDを治療するひとつのメソッドとして、
『TRE・震えて癒す0(ゼロ)レッスン』4月3日発売 『TRE・震えて癒す0(ゼロ)レッスン』が4月3日発売
FACT BOX ・ 要点整理
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