Quemix、トヨタ、豊田中央研究所、東京大学が古典-量子ハイブリッドコンピュータを用いた量子化学計算において効率的な「タスク分散」を実証研究で提示
Quemix、トヨタ自動車、豊田中央研究所、東京大学は、古典コンピュータと量子コンピュータを組み合わせたハイブリッド計算において、量子化学計算の効率的なタスク分散手法を実証しました。古典コンピュータで密度行列繰り込み群法(DMRG)を用いて限界まで精度を高め、その結果を量子アルゴリズム「PITE®」へ引き継ぐことで、計算コストを大幅に削減できることを明らかにしました。
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- 📰 発表: 2026年6月1日 20:15
- 🔍 収集: 2026年6月1日 11:35
- 🤖 AI分析完了: 2026年6月1日 18:33(収集から6時間58分後)
株式会社テラスカイのグループ会社で量子コンピュータのアルゴリズム・ソフトウェアの研究開発を行う株式会社 Quemixと、トヨタ自動車株式会社、株式会社 豊田中央研究所、東京大学大学院理学系研究科は共同研究の成果として、量子コンピュータを用いた量子化学計算において、古典コンピュータと量子コンピュータの効率的なタスク分散を検討する実証研究を行いました。本研究では、密度行列繰り込み群法(DMRG)と確率的虚時間発展法(PITE®)を組み合わせ、古典コンピュータと量子コンピュータそれぞれのデバイスの強みを最大限に引き出すための「計算リソースの効率的な配分」に関する新たな指針を提示いたしました。
【背景:量子化学計算における「初期状態準備」の課題】
近年、量子コンピュータを用いた高精度な量子化学計算が注目を集めています。これは、分子の電子状態は量子力学に従うため、同じ原理で動作する量子ビット上に自然に表現でき、従来の古典コンピュータでは計算が困難であった複雑な電子の振る舞いを精密にシミュレートできる可能性があるためです。そのため、量子コンピュータを用いることにより、高機能な新材料の開発が加速すると期待されております。
量子化学計算の中核をなすテーマは、エネルギーが最小となる「基底状態」を特定することです。基底状態が分かれば、分子の反応性や、実験で得られるスペクトルなど、多彩な物性情報を引き出すことができます。代表的な基底状態計算の量子アルゴリズムは量子位相推定が知られており、更なる計算加速のためにQuemixは独自の量子アルゴリズム「確率的虚時間発展法(PITE®)」を提案してまいりました。しかしながら、「初期状態準備(State Preparation)」は共通の課題として残されていました。初期状態には、多くの場合、古典コンピュータ上で実行される平均場近似計算の解が使用されます。平均場近似では正確に扱えない問題ほど、量子コンピュータによる高精度計算の恩恵は大きくなります。ただし、そのような問題では平均場近似解が真の基底状態から遠く離れています。これを初期状態として用いると、その後の量子コンピュータ上での計算コスト(演算時間やエラーリスク)が膨大になることが知られています。このため、いかに真の解に近い状態を「初期値」として用意できるかが実用化の鍵を握っています。
一方で、量子コンピュータ上で良い初期状態を準備するには大きく2つの問題があることが知られていました。第一に、良い初期状態を古典コンピュータ側で求めようとすると、大きなシステムサイズの問題では計算負荷が指数関数的に増大してしまう点です。第二に、仮に良い量子状態が古典コンピュータで用意できたとしても、それを量子コンピュータ上にエンコードする工程にも莫大な計算コストが生じる点です。このため、「古典コンピュータ側でどの程度まで良い初期状態を準備する必要があるのか?」「量子コンピュータ上での初期状態準備とその後の基底状態計算にどれだけの計算コストを割くべきか?」すなわち、両デバイス間の効率的なタスク分散の方法は明らかになっていませんでした。古典コンピュータと量子コンピュータを連携させるハイブリッド型計算が次世代の計算基盤として注目を集める今、両者のタスク分散を明らかにすることは実用上、極めて重要な問いでした。
【実証研究の内容:古典と量子の「ベストバランス」を探る】
今回の研究では、一つの計算問題に対して「どこまでを古典コンピュータで準備し、どこからを量子コンピュータに委ねるべきか」という境界線を実証的に明らかにしました。
■ 実証実験の結果
古典コンピュータによる徹底した「絞り込み」:基底状態計算において、可能な限り古典コンピュータ側で処理し切ることが、全体の効率化に直結することを示しました。具体的には、古典コンピュータ上での高精度な計算手法として既に知られている密度行列繰り込み群法(DMRG)を用い、古典コンピュータのメモリやコストが許す「限界ギリギリ」まで真の基底状態に近づけます。
シームレスな接続と量子の恩恵:古典コンピュータ側で得られた高精度な状態を行列積状態(MPS)として量子回路にエンコード(初期状態準備)し、Quemix独自の量子アルゴリズム「PITE®」へ引き継ぎます。
古典の限界を量子で突破する:大規模な問題では、厳密解まで古典コンピュータで押し切ろうとするとリソースが破綻します。本研究では、古典コンピュータで可能な限り真の解に近づけた後、そこから先の領域を量子コンピュータに委ねるという役割分担を採ることで、古典単独では到達できなかった「真の解」にたどり着ける可能性を実証しました。
【研究成果の意義:ハイブリッド運用の現実的な指針】
本研究は、量子コンピュータが強力である一方、初期状態が不十分なままではその恩恵を十分に享受できないことを改めて示しました。これからの量子化学計算において、「古典と量子の計算リソースをどう配分するか」という運用のバランスを具体的に提示したことは、実用化に向けた大きな成果となります。Quemixは今後も、量子化学計算の実用化に向けたアルゴリズム開発を推進し、材料開発を通じた社会課題の解決に貢献してまいります。
【背景:量子化学計算における「初期状態準備」の課題】
近年、量子コンピュータを用いた高精度な量子化学計算が注目を集めています。これは、分子の電子状態は量子力学に従うため、同じ原理で動作する量子ビット上に自然に表現でき、従来の古典コンピュータでは計算が困難であった複雑な電子の振る舞いを精密にシミュレートできる可能性があるためです。そのため、量子コンピュータを用いることにより、高機能な新材料の開発が加速すると期待されております。
量子化学計算の中核をなすテーマは、エネルギーが最小となる「基底状態」を特定することです。基底状態が分かれば、分子の反応性や、実験で得られるスペクトルなど、多彩な物性情報を引き出すことができます。代表的な基底状態計算の量子アルゴリズムは量子位相推定が知られており、更なる計算加速のためにQuemixは独自の量子アルゴリズム「確率的虚時間発展法(PITE®)」を提案してまいりました。しかしながら、「初期状態準備(State Preparation)」は共通の課題として残されていました。初期状態には、多くの場合、古典コンピュータ上で実行される平均場近似計算の解が使用されます。平均場近似では正確に扱えない問題ほど、量子コンピュータによる高精度計算の恩恵は大きくなります。ただし、そのような問題では平均場近似解が真の基底状態から遠く離れています。これを初期状態として用いると、その後の量子コンピュータ上での計算コスト(演算時間やエラーリスク)が膨大になることが知られています。このため、いかに真の解に近い状態を「初期値」として用意できるかが実用化の鍵を握っています。
一方で、量子コンピュータ上で良い初期状態を準備するには大きく2つの問題があることが知られていました。第一に、良い初期状態を古典コンピュータ側で求めようとすると、大きなシステムサイズの問題では計算負荷が指数関数的に増大してしまう点です。第二に、仮に良い量子状態が古典コンピュータで用意できたとしても、それを量子コンピュータ上にエンコードする工程にも莫大な計算コストが生じる点です。このため、「古典コンピュータ側でどの程度まで良い初期状態を準備する必要があるのか?」「量子コンピュータ上での初期状態準備とその後の基底状態計算にどれだけの計算コストを割くべきか?」すなわち、両デバイス間の効率的なタスク分散の方法は明らかになっていませんでした。古典コンピュータと量子コンピュータを連携させるハイブリッド型計算が次世代の計算基盤として注目を集める今、両者のタスク分散を明らかにすることは実用上、極めて重要な問いでした。
【実証研究の内容:古典と量子の「ベストバランス」を探る】
今回の研究では、一つの計算問題に対して「どこまでを古典コンピュータで準備し、どこからを量子コンピュータに委ねるべきか」という境界線を実証的に明らかにしました。
■ 実証実験の結果
古典コンピュータによる徹底した「絞り込み」:基底状態計算において、可能な限り古典コンピュータ側で処理し切ることが、全体の効率化に直結することを示しました。具体的には、古典コンピュータ上での高精度な計算手法として既に知られている密度行列繰り込み群法(DMRG)を用い、古典コンピュータのメモリやコストが許す「限界ギリギリ」まで真の基底状態に近づけます。
シームレスな接続と量子の恩恵:古典コンピュータ側で得られた高精度な状態を行列積状態(MPS)として量子回路にエンコード(初期状態準備)し、Quemix独自の量子アルゴリズム「PITE®」へ引き継ぎます。
古典の限界を量子で突破する:大規模な問題では、厳密解まで古典コンピュータで押し切ろうとするとリソースが破綻します。本研究では、古典コンピュータで可能な限り真の解に近づけた後、そこから先の領域を量子コンピュータに委ねるという役割分担を採ることで、古典単独では到達できなかった「真の解」にたどり着ける可能性を実証しました。
【研究成果の意義:ハイブリッド運用の現実的な指針】
本研究は、量子コンピュータが強力である一方、初期状態が不十分なままではその恩恵を十分に享受できないことを改めて示しました。これからの量子化学計算において、「古典と量子の計算リソースをどう配分するか」という運用のバランスを具体的に提示したことは、実用化に向けた大きな成果となります。Quemixは今後も、量子化学計算の実用化に向けたアルゴリズム開発を推進し、材料開発を通じた社会課題の解決に貢献してまいります。
よくある質問
今回の共同研究の主な目的は何ですか?
量子化学計算において、古典コンピュータと量子コンピュータの強みを活かすための効率的なタスク分散(役割分担)の指針を確立することです。
PITE®とはどのような技術ですか?
Quemixが開発した、量子コンピュータ上で基底状態を効率的に抽出するための独自の量子アルゴリズムです。
古典コンピュータと量子コンピュータの役割分担はどうなりましたか?
古典コンピュータでDMRG法を用いて可能な限り真の解に近づけ、その結果を量子コンピュータへ引き継いで計算を行うことで、全体の計算コストを最適化しました。
この研究による具体的な成果はありますか?
1次元ハイゼンベルグ模型の事例において、必要な計算コストを従来の約140分の1に削減することに成功しました。
この成果はどこで発表されますか?
2026年6月4日から5日に開催される国際カンファレンス「Q2B 2026 Tokyo」にて発表される予定です。