企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、株式会社日経BP(本社:東京都港区 代表取締役社長CEO:井口 哲也)が発行する「日経ビジネス」と共同で、従業員規模100名以上の会社にお勤めの正社員を対象に「労働時間と休日に関する意識調査」を実施しました。本調査では、労働時間や休日に対する希望と実態を捉えるとともに、それらが仕事や職場への満足度、働き方に対する意識とどのように関連しているのかを分析しました。

【エグゼクティブサマリ】

主要指標 — KEY FIGURES

46.9パーセント
「今のままでよい」と考える人
45.3パーセント
「今より短い時間で働きたい」
7.8パーセント
「今より長い時間で働きたい」
53.7パーセント
「時間外手当を得たいから」

・労働時間の希望は、「今のままがいい」が約半数、「短くしたい」が4割強、「長くしたい」は1割弱にとどまる(図表1)

・「長くしたい」理由は半数以上が「時間外手当を得たいから」、「短くしたい」理由は「心身の健康を守りたいから」「趣味、遊び、余暇の時間を持ちたいから」が上位となった(図表2、3)

・勤務先を選ぶ際には、労働時間よりも「休日の確保」が重視される傾向 (図表4)

・年次有給休暇の取得は進む一方、勤務時間外・休日の業務対応は依然として存在 (図表5)

・会社・職場の満足度に最も影響するのは「報酬・給与」、次いで「職場の人間関係」「仕事内容」(図表6、7)

・「今より短い時間で働きたい」人は、現状の満足度が全般的に低い(図表8、9)

本調査からは、労働時間に対する希望は単なる長短の問題だけではなく、仕事や職場に対する満足度や納得感と密接に関係している可能性が示唆されます。従業員が働き続けたいと思える環境を実現するためには、労働時間の管理だけでなく、仕事内容の充実や良好な人間関係の構築、適切な処遇、休暇取得のしやすさなどを含めた総合的な職場環境の整備が重要であると考えられます。本調査が、これからの働き方や職場づくりを考える一助となれば幸いです。

1.調査担当のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

組織行動研究所 主任研究員

武藤 久美子(ぶとう くみこ)

本調査を通じて、労働時間と休日について2つのことがわかりました。1点目は、労働時間の希望とその理由である。労働時間の希望については、もちろん「短くしたい」人も「長くしたい」人もいます。この「短くしたい」と「長くしたい」は逆の希望に見えますが、「長くしたい」理由のトップは時間外手当を得ることであり、「短くしたい」理由では、余暇時間や心身の健康の確保は上位があります。仕事自体や成長といった仕事本来のこととは異なる、個人の事情による理由だという意味では、「長くしたい」と「短くしたい」は共通している面も受け取ることができます。

2点目は、休日は労働条件の基本となるということです。年次有給休暇が取得できること、週休2日が確保されていることを労働条件に求める人は約8割にのぼり、これらは希望ではなく、基本の労働条件だと考える人が多いと考えられます。

現在政府で労働基準法の改正が検討されています。AIの高度化や浸透といった、組織や働く環境の大きな変化があるという予想もあるなか、検討の難度は増していると想像します。こうした環境変化や企業・団体のニーズと働く人のニーズへの深い理解があったうえでの検討が待ち望まれます。

2.調査の結果

労働時間の希望は、「今のままがいい」が約半数、「短くしたい」が4割強、「長くしたい」は1割弱にとどまる(図表1)

労働時間に対して、「今のままでよい」と考える人(46.9%)と、「今より短い時間で働きたい」(「今より短い時間で働きたい」「どちらかといえば今より短い時間で働きたい」の合計45.3%)と考える人がそれぞれ半数弱を占めた。

一方で、「今より長い時間で働きたい」と回答した人(「今より長い時間で働きたい」「どちらかといえば今より長い時間で働きたい」の合計)は7.8%にとどまり、長時間労働を望む人は少数派である。

図表1:労働時間の希望

「長くしたい 」理由は半数以上が「時間外手当を得たいから」、「短くしたい」理由は「心身の健康を守りたいから」「趣味、遊び、余暇の時間を持ちたいから」が上位となった(図表2、3)

今より長い時間働きたい理由として最も高かったのは「1.時間外手当を得たいから」(53.7%)。一方で、「9.今の仕事が好き・楽しいから」(17.7%)や「10.職場が好き・楽しいから」(12.1%)といった理由は相対的に低い結果となった。

今より短い時間で働きたい理由としては、「1.心身の健康を守りたいから」(56.3%)が最も高く、次いで「2.趣味、遊び、余暇の時間を持ちたいから」(47.6%)となった。

その一方で、「8.現在の仕事と直接関係しない、知識や経験、スキル・技術を高めたいから」(9.5%)や「9.副業・兼業をしたいから」(8.5%)、「10.現在の労働時間の中で行っている業務が少ないから」(5.7%)といった、主たる勤務先以外の仕事で仕事をしたい、もっと仕事をしたいという理由は少数にとどまった。

⇒これらの結果から、働く人々の労働時間に対するニーズは、単純に「より長く働きたい」「より短く働きたい」というものではなく、収入の確保と健康・生活の充実とのバランスの中で形成されている可能性が示唆される。特に、長時間労働を望む人であっても、その背景には仕事への熱意よりも経済的要因や業務上の必要性があり、より短く働きたい人では健康や生活の質を重視する傾向が見られた。企業においては、労働時間そのものの長短だけでなく、従業員が何を目的として働き方を選択しているのかを踏まえた柔軟な制度設計が重要になると考えられる。

図表2:今より長い時間で働きたい理由

図表3:今より短い時間で働きたい理由

勤務先を選ぶ際には、労働時間よりも「休日の確保」が重視される傾向(図表4)

勤務先を選ぶ際の労働条件の重要度を見ると、「とても重要である」「どちらかといえば重要である」の合計は、「5.年次有給休暇を取得しやすい」(81.9%)、「3.週休2日制である」(77.8%)が特に高く、いずれも8割前後に達した。

次いで高いのは「6.休日出勤や休日対応の必要がない」(70.3%)、「2.土日、祝日が休日である」(69.5%)であり7割前後となっている。

⇒これらの結果から、勤務先選択においては、休日が確保されていることや、必要なときに休暇を取得できることが重視され、当たり前の労働条件として考えられている可能性が示唆される。

図表4:労働条件における、労働時間・休日の重要度

年次有給休暇の取得は進む一方、勤務時間外・休日の業務対応は依然として存在(図表5)

現在の働き方の実態を見ると、「1.希望する日に年次有給休暇を取得することができている」と回答した人(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)は78.3%に達しており、重要な労働条件として挙げられていた年次有給休暇の取得については、おおむね実現できている状況が確認された。

一方で、勤務時間外や休日の業務対応については一定程度残っている実態が見られた。「6.退勤後や休日に業務上の対応が必要になることがある」(30.7%)、「7.退勤後や休日に、勤務先の会社の人から、緊急ではない連絡が来ることがある」(25.9%)、「8.退勤後や休日に顧客や社外関係者から、緊急ではない連絡が来ることがある」(21.7%)となった。

その一方で、「10.退勤後や休日は、会社からの連絡手段(PC、スマートフォンなど)を断っている、または連絡があっても見たり返信したりしない」と回答した人も30.6%見られた。

⇒これらの結果から、年次有給休暇の取得環境は一定程度整備されている一方で、勤務時間外や休日における業務対応・連絡は依然として残っており、休息時間の確保という観点では課題も残されている可能性が示唆される。特に、働き方改革や「つながらない権利」への関心が高まる中で、休暇取得だけでなく、勤務時間外に仕事から適切に離れられる環境づくりも重要になると考えられる。

図表5:働き方の現状

会社・職場の満足度に最も影響するのは「報酬・給与」、次いで「職場の人間関係」「仕事内容」(図表6、7)

会社や職場の満足度に影響を与える要素として、労働時間・休日以外も含めて尋ねたところ、最も多く挙げられたのは「1.報酬・給与」(64.7%)であり、次いで「2.職場の人間関係」(54.9%)、「3.仕事内容」(44.7%)が続いた。

また、「4.休日」(29.4%)、「5.労働時間」(23.5%)も一定数が挙げている。

一方で、「9.自分が成長できる見通し・可能性」(5.7%)、「10.自分が昇格・昇進できる見通し・可能性」(4.0%)、「11.勤務先企業の成長性」(3.1%)などは、相対的に回答割合が低かった。

図表6:会社や職場の満足度に影響を与えること

満足度の実態を見ると、「4.休日」は、「満足している」「どちらかといえば満足している」の合計が60.3%となり、比較的満足度が高い結果となった。

一方で、満足度への影響が最も大きかった「1.報酬・給与」については、肯定的回答が39.5%にとどまり、重要度の高さに対して満足度は相対的に低い結果となった。

また、満足度に影響を与えること2位の「2.職場の人間関係」と3位「3.仕事内容」の満足度は5割を超える程度であり、重視している労働条件も十分に満たせているとはいえない。

⇒ 勤務先を選ぶ際の条件となっている法定休日や年次有給休暇は、実態としても一定満たされているが、満足度に影響を与える報酬・給与や職場の人間関係、仕事内容は十分に満たされているとはいえない。報酬は・給与は多いに越したことがないという側面があるため、報酬・給与が上がっても、それに伴って「満足」だと感じるハードルも上がることもあり、やむを得ない面もある。一方で、「職場の人間関係」については、労働契約書に記載される労働条件にはあたらない。しかし、実態としては重要な労働条件の一つにもなっているとも捉えることができる。

図表7:会社や職場の満足度に影響を与えることについての現状の満足度

「今より短い時間で働きたい」人は、現状の満足度が全般的に低い(図表8、9)

図表1で述べた労働時間の希望に関する設問を用いて、「今より長い時間で働きたい」人(「今よりも長い時間働きたい」「どちらかといえば今よりも長い時間で働きたい」と回答した人)、「今のままがいい」人、「今より短い時間で働きたい」人(「今より短い時間で働きたい」「どちらかといえば短い時間で働きたい」と回答した人)に分けて、勤務先の会社や職場の満足感に影響のある要素を尋ねた。

いずれの群も1位が「4.報酬・給与」、2位が「1.職場の人間関係」、3位が「2.仕事内容」であり、労働時間希望別の違いはみられない(図表8)。

次に、図表8と同様の要素(選択肢)について、現在の満足度を尋ねた(図表9)。労働時間の希望別に見ると、全ての項目において「今よりも短い時間で働きたい」群の満足度が、他の2つの群と比較して下回った。

⇒ これらの結果から、勤務先の会社や職場の満足感に影響のある要素は、労働時間に対する希望によって、大きな違いはみられない。一方、「今より短い時間で働きたい」人は現状の満足度が全般的に低い。労働時間の希望の長短についてはそのまま受け止めるのではなく、その要因となる現状を分析し、状況にあわせた改善をしていくことが重要であると考えられる。

図表8:働き方の現状

図表9:働き方の現状

※「満足である」「どちらかといえば満足である」「どちらともいえない」「どちらかといえば不満である」「不満である」のうち、「満足である」「どちらかといえば満足である」と回答した人の割合

3.調査概要

リクルートマネジメントソリューションズについて

ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな課題に向き合い続けています。

●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築 ●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス

また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。

※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査結果
  • 関連組織:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ / 日経ビジネス