オーディオブックと運動の二重課題が認知機能低下抑制に有効であることを示唆

オーディオブック書籍ラインナップ数No.1の「audiobook.jp」を運営する株式会社オトバンク(本社:東京都文京区、以下「オトバンク」)が協力した、ベルピアノ病院および関西福祉科学大学による研究「複合的運動プログラムとオーディオブックを用いた二重課題トレーニングによる認知機能低下の抑制効果 ―軽度認知障害および主観的認知機能低下を有する要支援高齢者に対する準ランダム化並行群間比較試験―」が、『日本早期認知症学会誌』に掲載されました。また、本論文は、第13回日本早期認知症学会「論文賞」を受賞いたしました。

研究では、65歳以上の要支援高齢者を対象に1年間の比較実験を実施。運動とオーディオブックによる「二重課題(デュアルタスク)」が、認知機能の維持に有効であることを示唆しました。

### 研究のポイント

- **長期介入の有効性確認** 65歳以上の要支援高齢者を対象に、オーディオブックを用いた二重課題トレーニングの1年間にわたる長期介入効果を検討しました。複合的運動プログラムのみを行う群(対照群)と、同プログラムにオーディオブックを用いた二重課題を週1回追加した群(二重課題群)の2群で、認知機能(MoCA-J)の変化を比較。対照群では認知機能が有意に低下しましたが、二重課題群では有意な変化がなく、認知機能が維持されました。

- **臨床的意義のある成果** 1年後の評価において、二重課題群はベースラインから0.79点改善しましたが、対照群では1.25点低下しました。両群間の「介入前後の変化量」の差は2.04点(P=0.024)となり、臨床的意義があるとされる基準(MCID:2点)を上回りました。

- **高い継続性** オーディオブックによる二重課題の長期的な有効性が示唆されました。また、本手法は、計算やしりとりなどの従来の定型課題で課題となっていた「慣れ」や「飽き」を解消し、1年間のプログラム遵守率86.1%という高い継続性を確認しました。

### 研究概要

本研究では、65歳以上の要支援高齢者68名を対象に、1年間にわたる比較試験を実施しました。

**1. 比較した2つのグループ**

- **複合的運動のみを行うグループ(対照群 35名)** 週2回、理学療法士による個別リハビリに加え、レッドコードを用いたバランスエクササイズ、エルゴメーターによる有酸素運動、5種類のマシンを用いた筋力トレーニング、およびコグニバイクを含む複合的運動プログラムを合計約90分実施しました。このプログラムには、パソコン画面を見ながら運動する「コグニバイク(二重課題)」も含まれており、従来から認知症予防に有効とされる標準的な介入を十分に行っているグループです。

- **運動 + オーディオブックを行うグループ(二重課題群 33名)** 標準的な運動プログラムに加え、週に1回、リハビリ時間のうち15〜20分間を「オーディオブックを用いた独自の二重課題トレーニング」に充てました。

**【トレーニング内容】**

- **運動しながらオーディオブックを聴く** 足踏みなどの有酸素運動を行いながら、物語や実用書のオーディオブックを10分間聴く。 - **想起(アウトプット)** 運動終了後、聴いた内容を思い出し用紙に記入する。また、前回聴いた内容を確認しながら音読を行うプロトコルも実施。

**2. 比較実験の結果**

軽度認知障害(MCI)の検出に有効な認知機能検査「MoCA-J」を用いて評価しました。1年後の評価として、認知機能検査「MoCA-J」を実施した結果、対照群と二重課題群の間で有意な交互作用(P=0.027)を認めました。対照群は認知機能スコア(MoCA-J)が有意に低下した一方で、二重課題群は1年後も低下が見られず、良好な数値を維持しました。

この結果により、単なる運動だけでなくオーディオブックの聴取と想起という知的刺激を組み合わせることが、認知機能の低下を抑える上で有効であることが示唆されました。

### 受賞論文詳細

- **論文名**:複合的運動プログラムとオーディオブックを用いた二重課題トレーニングによる認知機能低下の抑制効果 ―軽度認知障害および主観的認知機能低下を有する要支援高齢者に対する準ランダム化並行群間比較試験― - **執筆者**:中村祐輔(ベルピアノ病院)、前河知佳(ベルピアノ病院)、重森健太(関西福祉科学大学) - **掲載誌**:『日本早期認知症学会誌』

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 関連組織:株式会社オトバンク / ベルピアノ病院
  • 製品・サービス:audiobook.jp / 二重課題トレーニング