岡山大学と愛媛県立中央病院、九州大学病院の共同研究成果プレスリリースです。

2026(令和8)年 6月 15日 国立大学法人岡山大学

<発表のポイント>

がん免疫療法で活性化した免疫細胞が、隠れていたリンパ腫の増殖を助けてしまう仕組みを解明しました。

一方で、がん免疫療法の効果に比べたらわずかなリスクであり、過度に恐れる必要はありません。このリスクを知り、適切に定期的なチェックを行うことで、より安全な治療の継続が期待されます。

◆概 要

国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の高等先鋭研究院を構成するひとつである岡山大学未来医療創発研究所の冨樫庸介教授(岡山大学病院呼吸器内科兼任)、岡山大学の長﨑譲慈客員研究員(研究当時。現、大阪公立大学)、二宮利文非常勤研究員(研究当時。現、九州大学病院)、Caiyang Fang大学院生(岡山大学医歯薬学総合研究科博士課程)、愛媛県立中央病院の勝田知也呼吸器内科部長らの研究グループは、がん治療に広く用いられる抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与中に、一部の患者で潜んでいた血液のがんの一種であるリンパ腫が見つかってくる可能性があること、およびその仕組みの一部を世界で初めて明らかにしました。

研究グループは、本邦のICIを投与された肺がん患者の大規模データベースを解析し、投与を受けていない患者と比較して、非常に低頻度ではありますが、リンパ腫が見つかるリスクが明らかに高いことを突き止めました。ICIによって活性化した本来免疫の味方になる細胞(濾胞性ヘルパーT細胞)が、隠れていたリンパ腫細胞の増殖を促してしまうというメカニズムの一端を解明しました。本研究成果は、国際学術誌『Clinical Cancer Research, a journal of the American Association for Cancer Research』に2026年5月18日(日本時間23:00)に掲載されました。

本研究は、長期に使用することもあるがん免疫療法において、隠れていたリンパ腫の悪化・顕在化という、今まであまり認識されていなかった合併症の存在を明らかにし、それをしっかりと定期的にチェックすることの重要性を浮き彫りにしました。がん免疫療法の効果に比べるとごくわずかなリスクで、過度に恐れる必要はないのですが、しっかりとチェックすることで安全にがん免疫療法を継続できることが期待されます。本成果は、がん治療のさらなる安全性向上に大きく貢献するものです。

◆冨樫庸介教授からのひとこと

がん免疫療法はさまざまな免疫細胞を活性化しますので、血液内科の研究者と共に、血液の免疫細胞のがんでこういった現象が起きないか?と興味を持っていたら、実際の診療の中で見つかってきました。最初に気付いて教えてくれた先生の観察眼に感服すると共に、この場を借りて感謝申し上げます。とはいえそのリスクは、一般的ながん免疫療法のメリットに比較するととても低いので、過度に恐れる必要はないと思っています。

◆論文情報 論 文 名:Incidence of B cell malignancies in patients with lung cancer receiving PD-1 blockade therapy 掲 載 誌:Clinical Cancer Research 著 者:Toshifumi Ninomiya, Caiyang Fang, Hirofumi Hamano, Teruya Morinaga, Wenhao Zhou, Toshihiro Koyama, Sakura Miki, Li Zhu, Yusuke Naoi, Daisuke Ennishi, Tomoya Katsuta, Kadoaki Ohashi, Shin Morizane, Tomoka Ohki-Ikeda, Tatsuya Nishi, Youki Ueda, Takamasa Ishino, Yoshinobu Maeda, Isamu Okamoto, Yoshito Zamami, Joji Nagasaki, Yosuke Togashi D O I:10.1158/1078-0432

◆研究資金 本研究は、日本学術振興会(JSPS):基盤S JP21H05051、研究活動スタート支援JP22K20824、若手研究 JP23K14594、若手研究JP25K19576、海外連携研究 JP23KK0149、基盤B JP24K02459;日本医療開発機構(AMED):革新的先端研究開発支援事業CR

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 製品・サービス:がん免疫療法