インドネシア・西ヌサトゥンガラ州との提携が始動

インドネシア総合研究所は、西ヌサ・トゥンガラ州のイクバル知事らとロンボク島で会談を行った。日本への労働者送り出しにおいて、日本語教師不足などの課題が浮き彫りになる中、労働者の自己負担をなくすBank NTB Syariahを通じた「ゼロコスト送り出し」スキームの導入が議論された。
提携NQ 82/100出典:PR Times

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  • 📰 発表: 2026年5月23日 22:15
  • 🔍 収集: 2026年5月23日 13:31
  • 🤖 AI分析完了: 2026年5月23日 20:04(収集から6時間32分後)
インドネシアの西ヌサ・トゥンガラ州(以下、NTB)の知事および同州労働・移住局長との会議へ

インドネシア総合研究所はこのたび、インドネシアの西ヌサ・トゥンガラ州(以下、NTB)の知事および同州労働・移住局長との会議をロンボク島にて実施しました。2026年4月下旬にマタラムの知事執務室で行われたこの会議では、職業訓練・語学教育・日本とのビジネスパートナーシップ、および職業訓練機関(LPK)間の連携について率直な意見交換が行われました。インドネシアと日本の間に新たなパートナーシップが生まれようとしています。

この会議の様子はTribun LombokやDuta Selaparangをはじめとする現地メディアにも報じられ、広く注目を集めました。

現地メディア掲載記事(インドネシア語)

Tribun Lombok 掲載記事

Duta Selaparang 掲載記事

ロンボク島とはどんな場所か

西ヌサ・トゥンガラ州(Nusa Tenggara Barat / NTB)に属するロンボク島は、バリ島の東に位置し、州都マタラムを含む1つの市と4つの県で構成されています。ジャカルタからは空路で約2時間、バリからはわずか30〜40分ほどのフライトで到着でき、アクセスは非常にスムーズです。

人口は約411万人(2025年時点)で、その多くは先住民族のササク族です。島内ではササク語が日常的に話されており、独自の文化が根付いています。ヒンドゥー文化の色濃いバリ島とは対照的に、ロンボクはイスラム教徒が多数を占めており、島中に点在する美しいモスクの景観から「千のモスクの島」とも呼ばれています。

自然の豊かさも魅力のひとつです。インドネシアで3番目に高い標高を誇るリンジャニ山や、リゾート地として世界的に有名なギリ3島は多くの観光客を惹きつけています。また、アヤム・タリワン(Ayam Taliwang)やプレチン・カンクン(Plecing Kangkung)といった個性豊かな辛い料理でも知られており、食文化の面でも訪問者を楽しませてくれます。

産業面では、伝統的な農業・漁業を基盤としながら、現在は「観光」を軸とした産業構造の転換が進んでいます。農業では米を主食作物とするほか、トウモロコシ、タバコ、カシューナッツ、コーヒー豆の栽培が盛んです。水産業では真珠の養殖が世界的に知られています。さらに、南部のマンダリカエリアに国際サーキットが開発されたことで、ロンボクは世界的な観光拠点へと変貌を遂げつつあります。

西ヌサ・トゥンガラ州が抱える課題——格差と人材不足

発展が進む一方で、西ヌサ・トゥンガラ州にはいくつかの構造的な課題が存在します。

最大の課題は、観光開発の恩恵が地元住民に十分に届いていないという格差の問題です。西ヌサ・トゥンガラ州の貧困率は約11%(2025年時点)であり、全国平均の約8%を大きく上回っています。特に農村部では収入の機会が限られており、雇用創出が急務となっています。

また、若年層の雇用機会の不足や、観光業・海外就労に向けた言語・スキル教育の遅れといったミスマッチも深刻な問題です。インドネシア全体で人材の海外送り出しが拡大するなか、西ヌサ・トゥンガラ州においても人材育成の基盤整備が課題となっています。こうした背景のもと、今回の会議では日本との連携を通じた具体的な解決策が議論されました。

会議の概要——イクバル知事との協議で見えた現状

西ヌサ・トゥンガラ州知事イクバル氏の執務室にて意見交換

2026年4月、弊社インドネシア総合研究所のスタッフは西ヌサ・トゥンガラ州知事イクバル氏の執務室を訪問し、職業訓練・語学教育・日本とのビジネスパートナーシップ、および職業訓練機関(LPK)間の連携について率直な意見交換を行いました。

会議において知事は、移住労働者(PMI:Pekerja Migran Indonesia)へのアプローチが「国際的義務」に基づくものであると強調しました。

「私たち西ヌサ・トゥンガラ州では今、国際的義務という観点から、労働者だけでなく家族を含む市民全体への保護を、派遣前・派遣中・派遣後のすべての段階において提供することを基本としています。」

単なる労働力の送り出しにとどまらず、人材の生活と将来を守る仕組みを設計しているという姿勢が明確に伝わりました。

会議で明らかになった重要な点のひとつが、インドネシアから日本への移住労働者の送り出し目標です。西ヌサ・トゥンガラ州は今年、2,000名の労働者を日本へ送り出すという目標を課されています。インドネシア政府が国策として人材の海外送り出しを推進するなか、同州においてもその受け皿づくりが急ピッチで進められています。

しかしながら、西ヌサ・トゥンガラ州における日本語教師の圧倒的な不足は最大の課題となっています。現在、西ヌサ・トゥンガラ州には日本語教師がわずか3名しか在籍していません。2,000名という送り出し目標に対して、教育インフラが追いついていない現実が明確になりました。

労働・移住局長は、この課題に対する短期的解決策として民間からのインストラクター支援の必要性を訴え、日本語教師・トレーナー向けのスキルアップ研修プログラムの策定について、知事からも正式な許可が与えられました。

「ゼロコスト」送り出しの仕組み——Bank NTB SyariahのKUR PMIスキーム

今回の会議で特に注目を集めたのが、インドネシア独自の「ゼロコスト送り出し」という発想です。知事は現地銀行Bank NTB Syariahとともに設計したプログラムについて次のように説明しました。

「そのアプローチは『ゼロコストで海外へ』というものです。派遣前の費用を前払いし、採用企業がBank NTB Syariahへ返済する仕組みで、近いうちにマレーシアとの間でまず適用が開始される予定です。」

従来、インドネシアから日本・マレーシア・韓国などへ渡航する労働者は、渡航費・研修費・各種手続き費用を自己負担するケースが一般的でした。経済的な事情から夢を諦めざるを得ない若者も多く存在していました。このゼロコスト・スキームは、そうした経済的ハードルを取り除くための画期的な取り組みといえます。

Bank NTB Syariah(西ヌサ・トゥンガラ州のイスラム系地方銀行)は、イスラム金融の原則に基づく統合型KUR PMI(Kredit Usaha Rakyat untuk Pekerja Migran Indonesia:移住労働者向け小口人民融資)スキームを通じて、インドネシア移住労働者候補(CPMI)向けの特別資金調達を提供しています。同行が今回配分を見込む金額は約100億ルピア(日本円にして約1億円程度)にのぼります。

さらに特筆すべきは、このスキームが単なる「借金」に終わらない設計になっている点です。海外で働く労働者は、就労先の国と出身地域の双方でBank NTB Syariahを通じてアクセスできる専用口座を持つことができます。契約期間中に貯蓄し、帰国後は西ヌサ・トゥンガラ州内でビジネス投資を選択できる仕組みになっています。

よくある質問

ゼロコスト送り出しとは?

労働者の渡航前費用を現地銀行が前払いし、採用企業が返済する仕組みです。

対象地域はどこですか?

インドネシアの西ヌサ・トゥンガラ州(ロンボク島など)です。

今後の課題は何ですか?

日本への送り出し目標2,000名に対し、日本語教師が3名しかいない教育インフラの不足です。