臨床用質量分析の感度低下を抑制する8-4重極イオンガイドを開発
日立製作所と日立ハイテクは、臨床用質量分析装置の感度低下を抑制する「8-4重極イオンガイド」を開発しました。血液試料の分析時に課題となる強い気流の影響を電場制御で回避し、イオンを効率的に装置内部へ導入します。これにより、低濃度成分の安定測定と装置の長期運用が可能となり、医療現場の検査効率向上に貢献します。
📋 記事の処理履歴
- 📰 発表: 2026年6月1日 13:00
- 🔍 収集: 2026年6月1日 13:27(発表から27分後)
- 🤖 AI分析完了: 2026年6月1日 18:13(収集から4時間46分後)
日立および日立ハイテクは、検査センターや大規模病院で求められる、ホルモンや薬剤など血中濃度が低い低分子成分の安定した測定と分析装置の安定運用の両立をめざし、臨床用質量分析向けの「8-4重極イオンガイド」を開発しました。血液などの液体試料を測る質量分析では、装置の入口から導入できるイオン量が感度を左右します。入口を広げるとイオンを多く取り込めますが、強い気流の影響でイオンの軌道が乱れやすくイオンの一部が装置内部に届かないことに加え、中性分子や帯電液滴が入り込みやすいことが課題でした。本技術は電場でイオンを気流から分け、気流の影響を受けにくい位置で集束させることで、分析対象のイオンを効率よく装置内部へ導入することが可能です。検証の結果、ガス流量5 L/minでも透過効率56%を確認し、帯電液滴とイオンの分離ができることを実証しました。また、1 pg/mLの低濃度のテストステロンを検出できることを確認しました。これにより、感度低下を抑制し、検査の再測定や装置停止につながる運用上のリスク低減に貢献します。なお、本成果の一部は2026年5月31日~6月4日に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催されるThe 74th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topicsで発表予定です。
よくある質問
8-4重極イオンガイドとはどのような技術ですか?
八重極と四重極の領域を組み合わせ、電場を用いてイオンを気流から分離・集束させることで、装置内部への効率的な導入と汚染物質の侵入抑制を実現する技術です。
なぜ質量分析装置で感度が低下するのですか?
装置の入口を広げるとイオンを多く取り込めますが、同時に強い気流が発生し、イオンの軌道が乱れたり、汚染物質(中性分子や帯電液滴)が装置内部に侵入して汚れの原因となるためです。
この技術の主なメリットは何ですか?
低濃度成分の安定した測定が可能になるほか、装置内部の汚染を抑えることで、再測定の削減や装置の長期的な安定運用に貢献します。
検証ではどのような成果が得られましたか?
ガス流量5 L/minの条件下で56%の透過効率を確認し、1 pg/mLという低濃度のテストステロンを検出することに成功しました。
今後の展開はどのようになっていますか?
医療機関やパートナー企業と連携し、Lumadaを活用したデータ解析を通じて長期安定性の評価を進め、体外診断の信頼性向上を目指します。