パリで開催された「台湾史補習」シリーズは、台湾における歴史学習の潮流に呼応する形で、フランス国立東洋言語文化学院(INALCO)と台湾師範大学国際台湾学研究センターの共同企画として実現しました。授業では、特定の用語の解釈を通じて、その背後にあるイデオロギーを解剖し、台湾社会の変容を理解することを目的としています。
本イベントの主催者の一人であり、INALCOおよびパリ・シテ大学で教鞭をとる劉展岳氏は、中国語学科、日本語学科、歴史学科など多岐にわたる学生を対象に講義を行っています。履修者数は増加傾向にあり、3年目となる今年は150名に達しました。劉氏は、1980年の「林宅事件」や民主化の歴史を背景とした映像作品を教材に、学生たちが歴史的背景を再考する機会を提供しています。
講義では、先史時代から国連総会第2758号決議、現代の選挙制度に至るまで幅広く扱い、特に1945年から1980年までの「国民党の台湾進駐」「二・二八事件」「白色テロ」といった民主化の歩みに焦点を当てています。「中華民国」「本省人」「外省人」といったキーワードを起点に、歴史の中でいかにこれらの言葉が解釈されてきたかを議論します。
劉氏は、フランス語の翻訳を比較することで、学生に批判的思考を促しています。例えば、1945年の出来事を指す「光復(祖国復帰)」という言葉に対し、「再獲得(recouvrer)」「解放(libérer)」「修復(restaurer)」「返還(rétrocéder)」という複数のフランス語訳を提示し、それぞれの差異と妥当性を検証させます。これにより、単一の歴史観ではなく、国際的な視点から台湾史を再構成することを促しています。
履修学生のうち約7割が台湾そのものへの関心から受講しており、残りは国際的な文脈の中での台湾の立ち位置を理解したいと願う学生たちです。中国からの留学生も約2割含まれており、敏感なテーマでは教室を去る者もいれば、熱心に記録をとる者もいるなど、多様な反応が見られます。本イベントには、芸術や生態学の専門家も参加し、多角的な視点から台湾史の理解を深める場となりました。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
- 分類:event