問題提起――SNS情報の性質と証拠評価の限界

デジタル化の進展に伴い、SNS上のやり取りが税務調査において参照される場面は増加しています。

もっとも、SNS情報はその性質上、発言の一部のみを切り取って直ちに事実認定の根拠とすることには慎重であるべきと考えられます。 SNSは、投稿者の意図・前後関係・仮定的表現・検討過程等が混在する媒体であり、その解釈には文脈全体の把握が不可欠です。

現代経営におけるSNSの位置付け

近年の企業活動において、SNSは単なる対外発信にとどまらず、以下のような用途で利用される場合があります。

・仮想訓練(Scenario Planning、Adversarial Stress Testing)の素材 ・危機管理シミュレーションの記録 ・ナラティブ・エンジニアリングの検討過程

これらはあくまで一般的な利用形態の一例であり、個別事案ごとの実態に応じた判断が必要であることはいうまでもありません。

構造的リスク――誤認はどのように生じるか

SNSに関する誤認は、特定の判断時点で突然発生するものではなく、

・発言の一部抽出 ・文脈の欠落 ・目的の未確認 ・仮定的表現の過度な実体視

といった過程を経て生じ得る構造的な問題です。

この点については、納税者側の権利保護のみならず、行政判断の適正性確保という観点からも重要な論点と考えられます。

ソリューション――「実体併合評価」ルール(提案)

本プロジェクトでは、SNS情報の取り扱いに関し、以下のような評価手法の導入を提案いたします。

1.SNS単独による事実認定の回避

SNS情報のみを唯一の根拠として事実認定を行うことは、証拠評価の慎重性の観点から適切ではない場合があるため、他の客観資料と併せた総合的判断を原則とする運用を提案します。

2.客観証拠との統合的評価

以下のような資料との整合性確認を行うことを前提とします。

・帳簿 ・契約書 ・取引記録 ・第三者の供述等

これにより、SNS情報の位置付けを補助的資料として整理します。

3.文脈および利用目的の確認

SNS記述については、

・発言の背景 ・前後関係 ・検討過程における位置付け

等を確認するプロセスを経ることが望ましいと考えております。

特に、仮定的検討やシミュレーションとしての側面が存在する場合には、その点を踏まえた評価が求められます。

4.主張立証のバランス

納税者側から当該記述について合理的な説明がなされた場合には、 その内容を踏まえた上で、全体証拠関係に基づき慎重に判断する枠組みが必要です。

本提案は、立証責任の法的配分を変更するものではなく、 証拠評価における慎重性・合理性の確保を目的とするものです。

制度的意義――行政実務の安定性確保

本提案は、納税者保護の観点に加え、

・判断過程の合理性確保 ・証拠評価の客観性向上 ・紛争リスクの低減

といった観点から、行政実務の安定性にも資するものと考えられます。

SNSの解釈を巡る争点は、将来的に紛争化する可能性もあることから、 あらかじめ評価手法を整理しておくことは、双方にとって有益です。

本提案の位置付け

本提案は、

・SNS情報の証拠価値を否定するものではなく ・既存の法令解釈を変更するものでもありません

あくまで、現行制度の枠内において、 より合理的で実務的な証拠評価手法を提示するもので、制度の安定性と柔軟性を両立させるための一提案として、今後も建設的な議論に貢献してまいります。

デジタル時代においては、情報の量と速度が飛躍的に増大する一方で、その解釈の難易度も高まっています。

税務行政においても、こうした環境変化を踏まえた評価手法の整備が求められています。

グローバルユニオン(国税ユニオン)は、国税行政における制度運用および情報管理体制の高度化に資するソリューション開発プロジェクトを推進しております。

本プロジェクトは、複数地域における実務上の課題認識および国税当局との意見交換を踏まえ、全国的な展開を見据えた取り組みとして継続的に推進してまいります。

グローバルユニオン(国税ユニオン) Web:https://globalunion-grp.org/mikata/u/kokuzeiunion/

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 関連組織:グローバルユニオン(国税ユニオン)
  • 製品・サービス:実体併合評価ルール