顧客と共に作り上げられる一点物のオーダーメイド化粧筆。

広島県熊野町の化粧筆専門メーカー・有限会社竹田ブラシ製作所(本社:広島県安芸郡熊野町、代表取締役:竹田康洋)は、海外の化粧筆コレクター市場の拡大を背景に、2026年5月期の海外売上比率が50%に達する見通しとなりました。

メイクブラシ業界では化学繊維が主流となる中、当社は天然毛の個性を最大限に引き出す少量生産と一貫生産を続けています。近年は、海外の愛好家から、1本単位の特注依頼が寄せられるようになりました。特注対応では、社長自らが英語メールで顧客と直接対話する独自の体制が、「自分の理想を形にできる」「他では得られない体験」としてSNSや海外コミュニティを通じて口コミが広がりました。

当社において特注品の受注は、新しい化粧筆の可能性を探る開発の一環と位置づけています。今後も職人の経験と技術を礎に、流行や効率に左右されず、道具としての品質と機能性を重視した化粧筆づくりを続けてまいります。

▼有限会社竹田ブラシ製作所公式サイト

化学繊維主流の市場で天然毛が注目される理由

近年、メイクブラシ業界では化学繊維(人工毛)が主流となっています。獣毛の高騰や入手の困難化に加え、化学繊維の品質安定と安定供給の観点から、多くの化粧品メーカーが化繊ブラシへと移行しています。現在では、著名な化粧品ブランド各社でも、天然毛を扱う商品は激減しました。日本最大の化粧筆産地である熊野でも、近年は化粧品市場の変化に伴い、化学繊維ブラシの需要が増えています。

そのような状況の中で、竹田ブラシは一貫して天然毛にこだわった化粧筆を作り続けてきました。天然毛は、太さやコシ、毛先の強さ、重心、ちぢれ、そして化粧を含む力など、それぞれが個性豊かな素材です。その個性を活かすことで、化粧においてグラデーションを持った表現や、繊細なコントロール性、メイクの仕上がりの質感や色などの表現に幅を持たせることができるのです。

しかし、天然毛を扱うには、経験に基づく確かな目利きと多くの手間が不可欠です。竹田ブラシでは独自の製法を発展させ、天然毛ならではの性能を最大限に引き出す製品づくりを続けています。

原料毛の個性を活かした様々な形状のアイシャドウブラシ

当社の海外売上比率の推移と取引国

当社の近年の海外売上は、確実に増えており、2024年5月期には全体の14.8%まで一旦落ち込んだものの、2025年5月期には30.5%へと大きく増加しました。さらに2026年5月期は50.6%に達する見込みで、売上全体に占める海外比率は約半数を超える水準となっています。 総売上が海外売上に押し上げられる形で伸長しており、需要構造が国内中心から海外富裕層へとシフトしてきました。

顧客は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを中心に、中東、オーストラリアなど世界各国に広がっています。 これらは定番品だけでなく、毛の種類や形状を細かく指定する特注品の依頼が中心で、個人顧客や再販業者からの直接注文です。

「1本からの特注」が海外愛好家に支持される背景

海外では化粧筆を対象とするコレクター市場があり、近年は特に日本の天然毛化粧筆に注目が集まっています。希少な原料毛やユニークな形、蒔絵などの装飾性の高い軸などを求め、海外のコミュニティやSNS上で活発に情報交換が行われています。日本の化粧筆市場に着目し、世界各国で販売する再販業者も存在します。

こうした動きの中で、竹田ブラシが1本からの特注製作に対応していることが口コミで広がり、世界各国からオリジナルの化粧筆製作の依頼が寄せられるようになりました。

広島熊野で行われる年に一度の筆まつりでは訪れる外国人が年々増加している(2025年の様子)

特注費や国際送料を含めると高額になりますが、「品質が飛び抜けている」「コレクションに欠かせない」「いつか特注品を依頼したいブランド」としてたびたび名前が上がると聞きます。中には、1本20万超の化粧筆を依頼する顧客や、数十本単位で収集する愛好家も多く存在します。また特注品には、竹田ブラシの製品と分かるよう、軸にロゴと漢字で「竹田」と刻印を希望する仕様が増えています。これは海外の愛好家がSNSで投稿する画像を通じて自然に広がったものです。

海外ユーザーにとって、ブラシの毛の種類、形状・用途などを細かく指定できるメーカーは珍しいらしく、「自分のアイデアを実現できるのは魔法のようだ」といった感想も耳にします。

SNSでは世界各国のユーザーによる化粧筆コレクションを紹介する投稿が活発で、カスタム事例が共有されています。

軸にロゴと漢字で「竹田」と刻印する仕様が人気特注品の一例。パリで活躍する著名なメイクアップアーティストからの依頼。

特注品の一例。特注品の一例。1本20万円以上する特注品も。

「社長直通」の対話と一貫生産体制

海外からの特注依頼は年々増加しています。その背景には、1本からの特注に対応できる化粧筆メーカーがほとんど存在しないことがあります。竹田ブラシでは海外向けのECサイトや正規の代理店を設けておらず、海外からの注文は、仕様の決定権を持つ社長が直接やり取りを行っています。常時5件前後の海外顧客との相談を並行して進めています。こうした体制は決して効率的とは言えませんが、個別の要望に細かく対応できる理由にもなっています。

代表取締役 竹田 康洋(3代目社長)

やり取りは主に英語のメールで行われます。化粧筆の形状や使用感のイメージをどこまで具体的に共有できるかが顧客満足度を大きく左右するため、社長自身が原料毛の特徴、軸や金具の口径、構造などを踏まえながら、顧客の希望に近い形を提案し仕様をまとめていきます。

顧客からは頭の中で描いた感覚的なイメージをもとにリクエストが寄せられますが、原料毛の特性に適さない形状や、実用性に乏しい設計、非合理的な精度を求められる場合もあります。その際には、なぜ実現が難しいのかを原料毛の性質や構造面から説明した上で、現実的な仕様へと調整していきます。

特注品制作の流れ

調整には細かなニュアンスを英語で伝える必要があり、高い精度のコミュニケーションが求められます。顧客が求める理想と、原料毛の特性や実用性との間で折り合いがつかず、調整が難航するケースもあります。その場合は、仕様の背景や制約を丁寧に説明しながら理解を得ていきます。このような過程を通して、顧客とともに一本の化粧筆を作り上げていく体験そのものが、特注品の価値と満足度へとつながっているのです。中にはやり取りを重ねて仕様を固め、見積もり提示まで進んだ段階で注文を取りやめたり、そのまま連絡が途絶える顧客もいます。こうしたプロセスには時間と労力と胆力を要するため、作り手へのリスペストと理解が必要不可欠と考えます。

竹田ブラシの生産体制

日本最大の筆産地である熊野では、工程ごとに分業する生産体制が発展してきました。問屋制のもと効率的で質の高い大量生産を可能にしてきたことが、現在の産地の規模とシェアを支えています。化粧筆の分野においても、大手化粧品会社向けのOEM製造を中心とした、分業による効率的な生産が主流となっています。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:ニュース
  • 製品・サービス:オーダーメイド化粧筆