シンプルフォーム株式会社(東京都目黒区、代表取締役CEO 田代 翔太、以下「当社」)のR&Dチームが提出した論文「情報の非対称性を考慮したマネーロンダリングの検知精度の評価:シミュレーションデータを用いた定量評価」が、第40回 人工知能学会全国大会(主催:一般社団法人人工知能学会・会期:2026年6月8日~)に採択されました。本論文は大会期間中に会場にてポスター発表され、会期終了後には同学会のサイトにて一般公開されます。

本論文で明らかにした主な知見は以下のとおりです。

・複数の銀行をまたいだ全取引が観測可能な理想的条件(Multi-Bank View)と、単一銀行の視点に制限された現実的条件(Single-Bank View)では、マネーロンダリングの検知精度に大幅な差が生じることを、シミュレーションデータを用いて定量的に示した。 ・理想的条件で高い性能を示したモデルであっても、単一銀行の視点に制限されると検知精度が大幅に低下する。 ・取引が活発な「ハブ口座」ほど、単一銀行からはその活動の全体像が把握しにくく、構造的に情報の欠損が生じやすい。 ・口座単位の局所的な特徴量をもとにモデルを再設計することで、一部のモデルでは検知精度の改善が見られた。

研究の背景

多くのアンチ・マネー・ロンダリング(AML)研究は、全銀行の取引を網羅的に観測できるという前提のもとで設計されています。しかし各銀行の金融取引の実務において参照できるデータは、自行のものに限られます。

当社は、全ての法人がフェアに繋がれる世界を目指し、独自に収集した法人の定性情報をもとに、法人取引における審査業務を支えるプロダクトやプロフェッショナルサービスを提供しています。金融機関のお客様との取り組みを通じ、単一の金融機関が持つ情報だけでは見えないリスクが、情報を横断的に組み合わせることで浮かび上がることを実感してきました。

研究の結果と提言

単一銀行の視点に制限されると、理想的条件に比べてマネーロンダリングの検知精度が大幅に低下することが明らかになりました。特に、取引が活発なハブ口座ほど構造的に情報が欠損しやすく、この問題が顕著に現れます。

また、口座単位の局所的な特徴量によるモデルの再設計によって一部は改善されましたが、精度差を根本的に補うことは困難です。この精度差は構造的に避けられないものであり、単一銀行の自助努力だけでは解決できないと結論付けています。

研究を通じ、検知精度の向上には以下のような取り組みが重要であると結論付けています。

・プライバシーに配慮した銀行間のデータ共有基盤の構築 ・顧客・取引に関する属性情報の集積と活用

こうした取り組みは、個々の銀行の検知精度向上にとどまらず、金融業界全体として観測可能な情報量を拡大し、より高精度なマネーロンダリング検知につながります。

今回の発表を足がかりに、当社はAML領域におけるAI活用を加速させます。また、解析メソッドの公開や研究用データの配布など、業界全体への還元も視野に入れた研究活動をさらに推進してまいります。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 製品・サービス:法人取引審査プロダクト