10GPa超を安定発生する「超高圧SPS装置」を開発──スペースシードホールディングス、岡山理科大学と共同で材料の低温合成
Key facts
- 10GPa超を安定発生する「超高圧SPS装置」を開発──スペースシードホールディングス、岡山理科大学と共同で材料の低温合成
- スペースシードホールディングス株式会社と岡山理科大学の森嘉久教授らの共同研究により、10GPa以上の超高圧を安定的に発生できる新方式の放電プラズマ焼結(SPS)装置が開発されました。本装置は、従来の超高圧SPSが抱えていた試料の小型化と圧力・温度分布の不均一性という課題を克服し、ミリスケールの試料を均一な圧力下で焼結できることを実証しました。
- Source: PR Times
- Date: 2026年6月3日
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スペースシードホールディングス株式会社と岡山理科大学の森嘉久教授らの共同研究により、10GPa以上の超高圧を安定的に発生できる新方式の放電プラズマ焼結(SPS)装置が開発されました。本装置は、従来の超高圧SPSが抱えていた試料の小型化と圧力・温度分布の不均一性という課題を克服し、ミリスケールの試料を均一な圧力下で焼結できることを実証しました。
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- 10GPa超を安定発生する「超高圧SPS装置」を開発──スペースシードホールディングス、岡山理科大学と共同で材料の低温合成 (2026年6月3日), PR Times
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- 2026年6月3日
スペースシードホールディングス株式会社と岡山理科大学の森嘉久教授らの共同研究により、10GPa以上の超高圧を安定的に発生できる新方式の放電プラズマ焼結(SPS)装置が開発されました。本装置は、従来の超高圧SPSが抱えていた試料の小型化と圧力・温度分布の不均一性という課題を克服し、ミリスケールの試料を均一な圧力下で焼結できることを実証しました。
📋 記事の処理履歴
- 📰 発表: 2026年6月3日 16:00
- 🔍 収集: 2026年6月3日 07:20
- 🤖 AI分析完了: 2026年6月7日 00:12(収集から88時間51分後)
スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「SS-HD」)は、岡山理科大学の森嘉久教授らとの共同研究において、10GPa以上の超高圧を安定的に発生できる新方式の放電プラズマ焼結(SPS)装置を開発し、その成果を粉体粉末冶金協会2026年度春季大会(2026年5月末、大阪)で発表しました。
本装置は、従来の超高圧SPSが抱えていた「試料が極小」「圧力・温度分布が不均一」という二つの課題を克服し、ミリスケールの試料を均一な圧力下で焼結できることを実証したものです。
発表の概要
演題(和)
クランプ式高圧発生装置を組み合わせた超高圧SPS装置の開発
演題(英)
Development of an Ultra-High-Pressure SPS System Incorporating a Clamp-Type High-Pressure Generator
発表者
森 嘉久¹、亀山 寛司¹、鈴木 健吾²(1. 岡山理科大学/2. スペースシードホールディングス)
発表の場
粉体粉末冶金協会 2026年度春季大会(2026年5月末・大阪)、講演番号3-9A
装置写真:SPSチャンバー内に設置したクランプ式超高圧SPS(UHP-SPS)装置
背景:圧力を上げたいのに、上げると測れなくなる
放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)は、一軸加圧した粉末にパルス通電し、短時間・低温で焼結・緻密化できる手法です。一般に流通するSPS装置の加圧は数十〜百MPa程度ですが、研究グループはこれまでピストンシリンダー型の高圧セルを組み合わせた超高圧SPS装置を開発し、圧力を加えることでSiO₂のガラス化温度が大きく低下することを報告してきました。圧力は、緻密化だけでなく材料そのものの状態を変えうる重要なパラメータです。
一方で、従来のピストンシリンダー型には根本的な制約がありました。試料サイズがサブミリオーダーと小さく、さらにセル内部の圧力・温度分布の不均一性が大きいため、「どの圧力・温度で何が起きたのか」を定量的に評価することが難しかったのです。圧力を高めるほど、得られた結果を精密に読み解くことが困難になるという課題でした。
今回の発表内容:マルチアンビル方式で「均一・大容積」を実現
研究グループは、低圧から高圧までの物性測定で実績のある「パームキュービック(palm cubic)」型高圧発生装置を基盤に、新たにクランプ式の高圧発生装置を開発しました。パームキュービックは、6つのアンビルで試料を等方的に加圧するマルチアンビルプレス構造を持ち、一軸加圧のピストンシリンダー型に比べて圧力分布が均一で、試料容積を大幅に拡大できる利点があります。これを既存のSPS装置のチャンバー内に設置することで、超高圧SPSシステムを構築しました。発生できる圧力は10GPa以上に達し、一軸加圧型を大きく上回ります。
装置の圧力較正には、ビスマス(Bi)の電気抵抗変化(相転移)を圧力定点として利用しました。プレスで30tonの荷重をかけ、4本のクランプネジをトルク制御したところ、トルク100N·mで相転移点Bi II–III(2.70GPa)を、トルク50N·mでBi I–II(2.55GPa)を確認しました。これにより、それぞれクランプ圧力2.6〜2.7GPa、2.5GPa程度と見積もられます(室温での見積りであり、加熱時には圧力の抜けが生じるため、加熱状態での圧力同定をさらに進めます)。
加熱については、断熱層の機構を新たに加えることで、約100Aの通電により1273K近傍までの加熱が可能になりました。70Aの加熱状態では試料近傍のみに高温域が局在し、アンビル側やクランプ本体の温度上昇は抑えられており、断熱構造が有効に機能していることを確認しています。
検証実験として、SiO₂粉末のSPS焼結を行いました。回収した試料は直径約2mm・高さ約1mmのミリスケールで、従来のピストンシリンダー型より大幅に大きなサイズです。試料は粉末からセラミック、さらに透明なガラス状へと変化し、クランプトルク75N·m・873Kという低温条件で透明化を確認しました。これは、従来のピストンシリンダー型における約2GPa・873Kの条件に匹敵する成果です。
技術のポイント
- 10GPa以上を安定発生:6アンビルのマルチアンビル(パームキュービック)構造をクランプ式に応用し、一軸加圧型を大きく上回る超高圧を安定的に得る。
- 圧力分布が均一・試料が大容積:等方加圧により圧力分布の不均一を抑え、回収試料は直径約2mm・高さ約1mmのミリスケールへ拡大。従来のサブミリ試料の課題を克服。
- 圧力をビスマス相転移で較正:Bi II–III(2.70GPa)/Bi I–II(2.55GPa)を圧力定点に用い、クランプトルクと発生圧力を対応づけ。
- 局所加熱を実現する断熱構造:断熱層を追加し約100Aの通電で1273K近傍まで加熱。70A時は試料近傍のみ高温が局在し、装置本体の温度上昇を抑制。
- 低温・低圧側での透明ガラス化を確認:SiO₂をトルク75N·m・873Kで透明化。圧力が緻密化因子にとどまらず、材料状態を制御する設計因子であることを実証。
想定される活用
均一な超高圧と精密な温度制御を、扱いやすいミリスケールの試料で両立できることは、材料合成条件の定量評価を大きく前進させます。具体的には、新規材料の低温合成、通常では得られない非平衡状態の制御、そしてダイヤモンドやc-BN(立方晶窒化ホウ素)に代表される高圧合成材料の探索など、広範な材料プロセスへの応用が期待されます。圧力という軸を設計変数として精密に扱えるようになることで、これまで「作ってみないとわからなかった」材料づくりを、条件を見通しながら設計する段階へと近づけます。
今後の展開
研究グループは、加熱状態における圧力同定をさらに進め、圧力・温度の両軸にわたる較正の精度を高めていきます。SS-HDは、岡山理科大学・森嘉久教授との共同研究を継続し、本装置を用いた材料合成データの蓄積と、宇宙利用研究事業「SPACE LAB.」を含む自社の材料・プロセス開発への展開を進めます。すでに完了している次世代高圧SPS技術の特許出願を基盤に、実機開発で得た知見を権利化・事業化の両面で活かしていきます。
SS-HD 代表取締役 鈴木健吾コメント
「圧力は、ものを縮めて固めるためだけの力ではありません。私たちは、圧力を『材料の状態そのものを書き換える設計図のペン』として扱いたいと考えています。今回、森嘉久教授と進めてきた装置開発で、条件を正確に測ることが難しかった超高圧焼結を、均一な圧力のもとでミリサイズの試料として手にできるようになりました。条件を見通しながら材料を設計できる入り口に立てたことに、大きな意味を感じています。
SS-HDが掲げる長期目標は、2040年までに人類が宇宙で暮らすために必要な技術を揃えることです。地球から運べる物資が限られる宇宙では、その場にある資源から、必要な材料を低いエネルギーで作り出す技術が不可欠です。今回の超高圧SPS技術は、そうした宇宙での材料製造に向けた基盤技術の一つになると確信しています。」
本装置は、従来の超高圧SPSが抱えていた「試料が極小」「圧力・温度分布が不均一」という二つの課題を克服し、ミリスケールの試料を均一な圧力下で焼結できることを実証したものです。
発表の概要
演題(和)
クランプ式高圧発生装置を組み合わせた超高圧SPS装置の開発
演題(英)
Development of an Ultra-High-Pressure SPS System Incorporating a Clamp-Type High-Pressure Generator
発表者
森 嘉久¹、亀山 寛司¹、鈴木 健吾²(1. 岡山理科大学/2. スペースシードホールディングス)
発表の場
粉体粉末冶金協会 2026年度春季大会(2026年5月末・大阪)、講演番号3-9A
装置写真:SPSチャンバー内に設置したクランプ式超高圧SPS(UHP-SPS)装置
背景:圧力を上げたいのに、上げると測れなくなる
放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)は、一軸加圧した粉末にパルス通電し、短時間・低温で焼結・緻密化できる手法です。一般に流通するSPS装置の加圧は数十〜百MPa程度ですが、研究グループはこれまでピストンシリンダー型の高圧セルを組み合わせた超高圧SPS装置を開発し、圧力を加えることでSiO₂のガラス化温度が大きく低下することを報告してきました。圧力は、緻密化だけでなく材料そのものの状態を変えうる重要なパラメータです。
一方で、従来のピストンシリンダー型には根本的な制約がありました。試料サイズがサブミリオーダーと小さく、さらにセル内部の圧力・温度分布の不均一性が大きいため、「どの圧力・温度で何が起きたのか」を定量的に評価することが難しかったのです。圧力を高めるほど、得られた結果を精密に読み解くことが困難になるという課題でした。
今回の発表内容:マルチアンビル方式で「均一・大容積」を実現
研究グループは、低圧から高圧までの物性測定で実績のある「パームキュービック(palm cubic)」型高圧発生装置を基盤に、新たにクランプ式の高圧発生装置を開発しました。パームキュービックは、6つのアンビルで試料を等方的に加圧するマルチアンビルプレス構造を持ち、一軸加圧のピストンシリンダー型に比べて圧力分布が均一で、試料容積を大幅に拡大できる利点があります。これを既存のSPS装置のチャンバー内に設置することで、超高圧SPSシステムを構築しました。発生できる圧力は10GPa以上に達し、一軸加圧型を大きく上回ります。
装置の圧力較正には、ビスマス(Bi)の電気抵抗変化(相転移)を圧力定点として利用しました。プレスで30tonの荷重をかけ、4本のクランプネジをトルク制御したところ、トルク100N·mで相転移点Bi II–III(2.70GPa)を、トルク50N·mでBi I–II(2.55GPa)を確認しました。これにより、それぞれクランプ圧力2.6〜2.7GPa、2.5GPa程度と見積もられます(室温での見積りであり、加熱時には圧力の抜けが生じるため、加熱状態での圧力同定をさらに進めます)。
加熱については、断熱層の機構を新たに加えることで、約100Aの通電により1273K近傍までの加熱が可能になりました。70Aの加熱状態では試料近傍のみに高温域が局在し、アンビル側やクランプ本体の温度上昇は抑えられており、断熱構造が有効に機能していることを確認しています。
検証実験として、SiO₂粉末のSPS焼結を行いました。回収した試料は直径約2mm・高さ約1mmのミリスケールで、従来のピストンシリンダー型より大幅に大きなサイズです。試料は粉末からセラミック、さらに透明なガラス状へと変化し、クランプトルク75N·m・873Kという低温条件で透明化を確認しました。これは、従来のピストンシリンダー型における約2GPa・873Kの条件に匹敵する成果です。
技術のポイント
- 10GPa以上を安定発生:6アンビルのマルチアンビル(パームキュービック)構造をクランプ式に応用し、一軸加圧型を大きく上回る超高圧を安定的に得る。
- 圧力分布が均一・試料が大容積:等方加圧により圧力分布の不均一を抑え、回収試料は直径約2mm・高さ約1mmのミリスケールへ拡大。従来のサブミリ試料の課題を克服。
- 圧力をビスマス相転移で較正:Bi II–III(2.70GPa)/Bi I–II(2.55GPa)を圧力定点に用い、クランプトルクと発生圧力を対応づけ。
- 局所加熱を実現する断熱構造:断熱層を追加し約100Aの通電で1273K近傍まで加熱。70A時は試料近傍のみ高温が局在し、装置本体の温度上昇を抑制。
- 低温・低圧側での透明ガラス化を確認:SiO₂をトルク75N·m・873Kで透明化。圧力が緻密化因子にとどまらず、材料状態を制御する設計因子であることを実証。
想定される活用
均一な超高圧と精密な温度制御を、扱いやすいミリスケールの試料で両立できることは、材料合成条件の定量評価を大きく前進させます。具体的には、新規材料の低温合成、通常では得られない非平衡状態の制御、そしてダイヤモンドやc-BN(立方晶窒化ホウ素)に代表される高圧合成材料の探索など、広範な材料プロセスへの応用が期待されます。圧力という軸を設計変数として精密に扱えるようになることで、これまで「作ってみないとわからなかった」材料づくりを、条件を見通しながら設計する段階へと近づけます。
今後の展開
研究グループは、加熱状態における圧力同定をさらに進め、圧力・温度の両軸にわたる較正の精度を高めていきます。SS-HDは、岡山理科大学・森嘉久教授との共同研究を継続し、本装置を用いた材料合成データの蓄積と、宇宙利用研究事業「SPACE LAB.」を含む自社の材料・プロセス開発への展開を進めます。すでに完了している次世代高圧SPS技術の特許出願を基盤に、実機開発で得た知見を権利化・事業化の両面で活かしていきます。
SS-HD 代表取締役 鈴木健吾コメント
「圧力は、ものを縮めて固めるためだけの力ではありません。私たちは、圧力を『材料の状態そのものを書き換える設計図のペン』として扱いたいと考えています。今回、森嘉久教授と進めてきた装置開発で、条件を正確に測ることが難しかった超高圧焼結を、均一な圧力のもとでミリサイズの試料として手にできるようになりました。条件を見通しながら材料を設計できる入り口に立てたことに、大きな意味を感じています。
SS-HDが掲げる長期目標は、2040年までに人類が宇宙で暮らすために必要な技術を揃えることです。地球から運べる物資が限られる宇宙では、その場にある資源から、必要な材料を低いエネルギーで作り出す技術が不可欠です。今回の超高圧SPS技術は、そうした宇宙での材料製造に向けた基盤技術の一つになると確信しています。」
よくある質問
この新しい超高圧SPS装置の最大の特長は何ですか?
10GPa以上の超高圧を安定発生でき、従来の課題だった圧力分布の不均一性を解消し、ミリスケールの試料を均一に焼結できる点です。
この装置はどのような材料合成に活用が期待されますか?
新規材料の低温合成、非平衡状態の制御、ダイヤモンドやc-BNなどの高圧合成材料の探索など、広範な材料プロセスへの応用が期待されます。
開発した装置の圧力較正には何を用いましたか?
ビスマス(Bi)の電気抵抗変化(相転移)を圧力定点として利用し、Bi II-III(2.70GPa)とBi I-II(2.55GPa)を確認しました。
従来の超高圧SPS装置と比べて、どのような点が改善されましたか?
試料サイズがサブミリから直径約2mm・高さ約1mmのミリスケールに拡大し、圧力・温度分布の不均一性が大幅に改善されました。
この研究成果はどこで発表されましたか?
粉体粉末冶金協会2026年度春季大会(2026年5月末、大阪)で発表されました。