特別養護老人ホーム(特養)は、要介護高齢者の生活を長期的に支える公的な介護施設として、家族にとって最後の砦のような存在です。しかし「申し込めばすぐに入れる施設」ではなく、入居までには平均して数ヶ月から数年に及ぶ"待機期間"が存在します。その間、要介護の本人と家族はどのような環境で過ごし、どのように介護を続けているのか ── 制度上の議論は重ねられても、当事者の暮らしの実態は十分に可視化されてきませんでした。
そこで介護施設の口コミ評判サイト「ケアスル 介護」を運営する株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚英樹、東証スタンダード:4499)は、全国の男女1,000名にスクリーニング調査を行い、そのうち特養への入居経験がある本人・そのご家族586名に対して、申し込み施設数・待機期間・要介護度の変化・待機期間中の居住環境や介護者の状況まで踏み込んで聞きました。本リリースでは、「順番待ち」のあいだに家族が直面している現実を、5つの切り口でお伝えします。
【調査結果サマリ】
待機期間の長さ:特養入居までの待機期間が「半年以上」となった家庭は42.1%、「1年以上」も22.9%にのぼり、申し込みから入居までは決して短くない
複数施設への申し込みが標準化:61.8%が2ヶ所以上の特養に申し込みをしており、複数施設への並行申請が事実上のスタンダードになっている
うち4ヶ所以上に申し込んだ家庭も14.2%
約4割が特例・早期申請:特養の入居資格は原則・要介護3以上だが、制度上の原則を下回る段階でも入居を果たしているケースが約4割確認され、認知症や家族の就労事情による特例入居・早期相談行動のリアルが見える。
独居・在宅で待ち続ける家族:待機期間中、入居予定者の66.0%が「独居」、64.2%が「在宅介護」の状態。施設の枠が空くまで、暮らしの現場で介護を続けるしかない実態が浮かぶ。
介護者の就労状況:入居が実現した時点で、介護者の52.2%が「フルタイム就労中」、22.0%は「介護者以外に手伝う者がいなかった」。仕事と介護の両立が迫られる中、12.8%は離職・転職を検討または実施していた
トピックス1:特養への待機期間 ── 4割超が「半年以上」、2割超が「1年以上」
特養への申し込みから入居までの待機期間を聞いたところ、「1ヶ月未満」16.5%、「1〜3ヶ月未満」24.4%と短期間で入居できた家庭がある一方、「6ヶ月〜1年未満」19.3%、「1〜2年未満」10.9%、「2〜3年未満」6.5%、「3年以上」5.5%と、半年以上の待機が42.1%、1年以上の待機も22.9%を占めました。
特別養護老人ホームへの入居難易度の高さや待機期間の長さは、以前から社会的な課題として指摘されてきましたが、当事者586名のデータは、その実態を改めて数値で裏付ける結果となっています。
待機の長期化は、本人の状態悪化だけでなく、家族の生活設計や就労継続にも長期間にわたる影響を及ぼすことを意味します。
【図表1】特養入居までの待機期間(n=586)
期間
割合
1ヵ月未満
16.55%
1~3ヵ月未満
24.40%
3~6ヵ月未満
16.89%
6ヵ月~1年未満
19.28%
1~2年未満
10.92%
2~3年未満
6.48%
3年以上
5.46%
半年以上の待機:42.1%/1年以上の待機:22.9%
トピックス2:申し込み行動 ── 6割超が複数施設に並行申請
申し込んだ特養の施設数は「1ヶ所」が38.2%にとなり、「2ヶ所」27.5%、「3ヶ所」20.1%、「4ヶ所」6.1%、「5ヶ所」2.9%、「6ヶ所以上」5.1%と、2ヶ所以上に申し込んだ家庭が61.8%に達しました。4ヶ所以上に申し込んだ家庭も14.2%と、1割を超えています。
特養への入居枠を確保するために、複数施設への並行申請を行うことが、もはや個別の工夫ではなく多くの家庭で実施される標準的な行動になっている様子がうかがえます。家族にとっては申請書類の準備や情報収集、施設見学などの負荷が積み重なる工程でもあり、入居までの「家族側の作業量」も無視できません。
【図表2】申し込んだ特養の施設数(n=586)
施設数
割合
1ヵ所
38.23%
2ヵ所
27.47%
3ヵ所
20.14%
4ヵ所
6.14%
5ヵ所
2.90%
6ヵ所以上
5.12%
2ヶ所以上に申し込み:61.8%/4ヶ所以上:14.2%
トピックス3:申し込み時・入居時の要介護度 ── 約4割が要介護2以下
申し込み時点での要介護度は、要介護3が24.4%、要介護4が21.8%、要介護5が16.0%で、要介護3以上を合算すると62.3%にのぼりました。逆に、要介護2以下の方が全体の約4割を占めているという結果となりました。
制度上、特養は原則として「要介護3以上」が入居対象とされていますが、今回の調査では申し込み・入居時のいずれにおいても、約3割の家庭で「要介護1〜2」や「要支援」などの段階でのデータが確認されました。これは、認知症の症状や家族の就労状況等によって認められる「特例入居」の仕組みを活用しているケースや、待機中に一時的に要介護度が改善・変更されたケース、あるいは在宅介護の限界から早期に相談行動を起こしているリアルな実態を反映していると考えられます。
※注:図表3の「自立」「要支援」等の数値は、特例入居のほか、回答者の記憶に基づく主観や、併設するショートステイ等の利用記憶との混同が含まれる可能性があります。
【図表3】申し込み時・入居時の要介護度(n=586)
要介護度
申し込み時
入居時
要支援1
5.46%
5.12%
要支援2
6.48%
6.31%
要介護1
7.00%
9.39%
要介護2
15.70%
15.36%
要介護3
24.40%
26.62%
要介護4
21.84%
20.82%
要介護5
16.04%
13.14%
要介護3以上:申し込み時62.3% / 入居時60.6%
トピックス4:待機期間中の生活実態 ── 独居が約6割
待機期間中の入居予定者の居住・介護環境を聞いたところ、「独居(介護者は近隣/県内)」45.6%、「独居(介護者は遠方/県外)」20.5%と、独居で待機している割合が合算で66.0%にのぼりました。「介護者/他の家族と同居」は19.6%、「高齢者のみ世帯(老老介護等)」も14.3%と、本人ひとり、または高齢の配偶者だけで生活している家庭が大半を占めています。
利用していた介護サービスでは、「在宅介護(ショートステイ・デイサービス等あり)」48.6%、「在宅介護(ショートステイ等なし)」15.5%と、在宅介護で待機している家庭が合算で64.2%でした。「病院に入院」13.3%、「老健・グループホーム・介護医療院」12.5%など他の施設に身を寄せているケースもありますが、入居までの「待ち」の時間を、在宅で家族が支え続けている構図が見て取れます。
【図表4】待機期間中の
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
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