静岡大学にて世界で初めて核融合炉向けW-Re合金における水素同位体プラズマ駆動透過実験を実施

Key facts

  • 静岡大学にて世界で初めて核融合炉向けW-Re合金における水素同位体プラズマ駆動透過実験を実施
  • 静岡大学の研究グループは、核融合炉の材料として有望なタングステン・レニウム(W-Re)合金において、プラズマ照射による水素同位体の透過・滞留挙動を世界で初めて実験的に解明しました。この研究は、核融合炉の長期安定運転とトリチウム管理に不可欠な基礎データを提供します。
  • Source: PR Times
  • Date: 2026年6月9日

Direct answer

静岡大学の研究グループは、核融合炉の材料として有望なタングステン・レニウム(W-Re)合金において、プラズマ照射による水素同位体の透過・滞留挙動を世界で初めて実験的に解明しました。この研究は、核融合炉の長期安定運転とトリチウム管理に不可欠な基礎データを提供します。

Citation
静岡大学にて世界で初めて核融合炉向けW-Re合金における水素同位体プラズマ駆動透過実験を実施 (2026年6月9日), PR Times
Source
PR Times
Date
2026年6月9日
静岡大学の研究グループは、核融合炉の材料として有望なタングステン・レニウム(W-Re)合金において、プラズマ照射による水素同位体の透過・滞留挙動を世界で初めて実験的に解明しました。この研究は、核融合炉の長期安定運転とトリチウム管理に不可欠な基礎データを提供します。

📋 記事の処理履歴

  • 📰 発表: 2026年6月9日 11:00
  • 🔍 収集: 2026年6月9日 11:27(発表から27分後)
  • 🤖 AI分析完了: 2026年6月12日 16:51(収集から77時間23分後)
静岡大学理学部の大矢恭久准教授の研究グループは、静岡大学にあるプラズマ駆動透過装置(SUMPPU)を使用したプラズマ照射実験を実施し、タングステン・タングステン―レニウム合金試料におけるプラズマ透過・滞留挙動に関する物理定数へのReと照射欠陥影響を明らかにしました。

本研究成果は、2026年5月30日に、Elsevierの発行する国際学術雑誌「Fusion Engineering and Design」に掲載されました。

【研究背景】
次世代のクリーンエネルギーとして期待される核融合発電では、重水素(D)とトリチウム(T)の核融合反応によって得られるエネルギーを利用します。核融合反応は高温プラズマ状態で維持されるため、炉壁となるプラズマ対向材には高融点・低スパッタ率を有するタングステン(W)が有力候補とされています。運転時のWは高エネルギーD・Tに加え、D–T反応で生成される中性子にも曝されます。核融合炉の実現には、プラズマの長時間維持と希少なTの厳密な管理が不可欠であり、そのためには実機条件に近いW中での水素同位体透過挙動を明らかにする必要があります。

しかし、中性子照射を受けたWでは一部がレニウム(Re)へ核変換し、同時に照射欠陥が導入されるため、水素同位体挙動に対するReおよび照射欠陥の影響評価が重要となります。中性子照射後の試料は放射化しており、取り扱い可能な施設は世界的に限られています。本研究グループは管理区域内にプラズマ駆動透過装置(SUMPPU)を設置することで、世界で唯一、中性子照射試料を対象としたプラズマ透過実験を実施してきました。本研究ではSUMPPUを用いたDプラズマ照射により透過だけでなく滞留挙動まで評価し、Re添加の影響解明を目指しました。

【研究の成果】
本研究では、W および W–10%Re 合金を試料として使用しました。照射欠陥を模擬するため、イオン照射研究施設(TIARA)において Fe²⁺ イオン照射を実施し、その後、試料を静岡大学の SUMPPUに導入しました。W および W–Re 合金に対して D プラズマ透過実験を行い、W–Re における透過挙動を評価しました。また、D プラズマ照射後には昇温脱離法(TDS)を実施し、水素同位体の滞留挙動へのRe・照射欠陥影響を評価しました。

その結果、W–10%Re ではW と比較して透過フラックスが増加することが分かりました。実験から得られたパラメータを基に再結合定数を算出したところ、W–10%Re の再結合定数は W よりも小さいことが明らかになりました。再結合定数の低下は表面からの D 放出を抑制し、試料内部の D 濃度を増加させます。増加した内部 D が裏面へ拡散することで、W–10%Re における透過フラックスが大きくなることを示しました。

さらに、Re 添加は照射欠陥の生成を抑制し、D の捕捉サイトを減少させることで、D 滞留量を大幅に低減することが分かりました。Re添加は再結合定数を減少させ、照射欠陥生成の抑制する効果が明らかとなりました。

【今後の展望と波及効果】
本研究で得られた知見は、照射環境を踏まえた W–Re 中の水素同位体移行ダイナミクスの理解を深め、核融合炉材料開発に必要な基盤データの構築に大きく貢献するものです。

【論文情報】
掲載誌名: Fusion Engineering and Design
論文タイトル: Hydrogen isotope permeation and desorption dynamics in W-Re alloys
著者:Yuzuka Hoshino, Robert Kolasinski, Yasuhisa Oya
DOI:https://doi.org/10.1016/j.fusengdes.2026.115841

SUMPPU装置とDプラズマ照射時の様子

よくある質問

この研究の主な目的は何ですか?

核融合炉の炉壁材料として期待されるタングステン・レニウム(W-Re)合金について、プラズマ照射下での水素同位体の透過・滞留挙動を実験的に明らかにし、その物理定数への影響を解明することです。

なぜW-Re合金の研究が重要なのでしょうか?

核融合炉では、炉壁材料が過酷なプラズマ環境に曝されます。水素同位体の挙動を理解することは、炉の安定運転、燃料(トリチウム)管理、材料寿命の予測に不可欠だからです。

実験で使われたSUMPPU装置のユニークな点は?

SUMPPUは、世界で唯一、中性子照射された放射化試料を対象としたプラズマ透過実験が可能な装置であり、実機に近い条件での研究を可能にします。

研究成果は将来の核融合発電にどう繋がりますか?

得られた基礎データは、より耐久性・信頼性の高い核融合炉材料の開発を促進し、実用化に向けた重要な一歩となります。

レニウム(Re)添加の効果は何ですか?

Reの添加は、水素同位体の透過量を増加させる一方で、材料内部への滞留量を大幅に低減させることが分かりました。これは、材料の健全性維持に有利な特性です。