シリアの記憶を未来へ。戦争で失われつつある「文化」を、3Dで残す—東京大学大学院・渡邉英徳研究室とPiece of Syriaがシリアの記憶をアーカイブ

東京大学大学院渡邉英徳研究室とNPO法人Piece of Syriaは、戦争で失われつつあるシリアの文化を3Dデータで保存する「シリア・アーカイブ」プロジェクトを共同で開始した。このプロジェクトでは、シリア人協力者から提供された映像を基に、街並みや文化遺産を3Dモデル化する。背景には、紛争による建造物の破壊や、70万人以上のシリア難民の子どもたちが母国文化を知らずに育っている状況がある。プロジェクトの一環として、2026年4月26日にJICA東京でデジタルアーカイブを体験するイベントが開催される。
partnershipNQ 100/100出典:PR Times

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  • 📰 発表: 2026年4月14日 20:00
  • 🔍 収集: 2026年4月14日 11:31
  • 🤖 AI分析完了: 2026年4月14日 17:11(収集から5時間40分後)
人々が行き交う首都ダマスカス(2025年4月中野撮影)




戦争は、街を壊すだけでなく、人々の文化や記憶、社会のつながりを分断します。文化や伝統、日常を記録し未来へ手渡すことは、復興に向けた土台づくりにもつながります。こうした考えのもと、両者は3Dデータを活用した「シリア・アーカイブ」を進めています。

シリア3Dアーカイブ:https://syria.archiving.jp/









■ 多様な協力者と、3Dデータでシリアの文化を記録




本プロジェクトでは、シリアの街並みや建築物、暮らしなどを、動画から3Dデータに変換し、記録・保存していきます。












元となる素材は、Piece of Syria代表の中野が撮影した映像に加え、当団体の現地ネットワークを活用し、シリア人の考古学者、観光ガイド、アーティスト、映像作家、NGO関係者など、多様な協力者から提供を受けていきます。




これらの素材をもとに、広島・長崎、東日本大震災、ガザ地区などで戦争や災害の記憶をデジタル空間に記録してきた渡邉英徳研究室と協力し、シリアの文化遺産や日常を3Dアーカイブ化していきます。







戦争と地震の被害を受けた世界遺産アレッポ(2025年4月中野撮影)





■ なぜ今、「文化を残す」のか




シリアでは長引く紛争の中で、歴史的建造物や街並みが破壊されてきました。さらに、難民・避難民として故郷を離れた人々が増えたことで、伝統文化や生活の記憶そのものが失われつつあります。









こうした状況に対し、文化のアーカイブを行うことには大きく三つの意義があると考えています。









 ・戦争では、人々の心を挫くために文化遺産が意図的に破壊されることがある。だからこそ、文化を守ること自体が平和へのメッセージになること




 ・国民の半数以上が避難生活を余儀なくされ、後継者不足や伝統行事・音楽・母国語に触れる機会の喪失によって、文化の断絶が進みつつあること




 ・シリアを知らずに育つ子どもたちが増える中、自国に根付いてきた文化や伝統を知ることが、将来の復興を支える精神的な土台になること









この取り組みは、日本に住む私たちにとっても、戦争や難民というイメージで遠く感じられがちな中東地域を、豊かな文化と日常を持つ社会として捉え直す機会となります。




■ 「分断を乗り越えるプロジェクトにしていきたい」                                          












Piece of Syria 中野「私たちは、シリアからトルコに逃れたシリア人の子どもたちに、母国語・母国文化を学ぶ補習校を運営してきました。トルコ生まれのシリア人は70万人以上と言われ、母国を知らない子どもたちも多く、親世代はそのことを危惧しており、そうした声から本プロジェクトは生まれました。また、長期に渡る内戦で生まれた分断は、支援活動を妨げるほど根深く、時に命の危険を脅かすものになっています。だからこそ、分断を超えて共通する価値観となる歴史的な文化を軸に、対話と協働を生み出していく可能性を信じて、取り組んでいます。今回、広島・長崎・ガザなどでの取り組みに感銘を受けていた渡邊先生と、こうして共同事業ができることを大変楽しみに、ワクワクしています」







写真右から二人目の渡邊教授を囲むPiece of Syriaスタッフ。一番右が代表の中野





■ 4/26、デジタルアーカイブを体験するイベントを東京で開催




本プロジェクトに関連し、「シリア3Dアーカイブ」も用いたワークショップと、東京文化財研究所・安倍雅史氏と、シリア中東の歴史・文化・政治の専門家の黒木英充氏によるシリア文化の解説、そして参加者同士の対話の機会を作ります。当日は、渡邊教授もご登壇いただき、シリア3Dアーカイブについても解説いただきます。










観光国シリアへの旅と戦争の記録 ~未来に向けて私たちができること~







【日時】 2026年4月26日(日)14:00 – 17:00




【会場】 JICA東京(幡ヶ谷駅から徒歩約8分)




【参加費】無料




【詳細・申込】 https://syriaculture2026.peatix.com




【後援】独立行政法人国際協力機構(JICA)




【主催】NPO法人Piece of Syria













■ 取材・お問い合わせ




◆東京大学大学院 渡邉英徳研究室
hwtnv@iii.u-tokyo.ac.jp (担当:渡邉 英徳)





◆特定非営利活動法人Piece of Syria
contact@piece-of-syria.org(担当:中野 貴行)




Web:https://piece-of-syria.org









【渡邉英徳研究室プロフィール】 東京大学大学院情報学環に拠点を置き、戦争・災害・社会記憶を対象に、デジタルアーカイブと情報デザインの研究・実践を進める。ヒロシマ・ナガサキアーカイブ、東日本大震災アーカイブ、ウクライナやガザの戦災、能登半島地震のデジタルアーカイブなど、記憶を未来へ継承するプロジェクトを展開している。直近では、緊迫する中東情勢における衛星画像やオープンソースを用いた戦争の状況分析・記録活動にも従事する。

【Piece of Syria概要】「シリアをまた行きたい国にする」ことを目指し、2016年に設立。2021年7月にNPO法人化。シリアの未来の平和の土台を作るために、幼稚園運営、小学校の校舎修復、心のケアなどを通じて、5万人を超えるシリアの子どもたちに教育を届ける。また、日本全国やオンラインで「シリアの今と昔」を伝えることを通じて平和について考える講演・写真展などのイベントを実施。そうした活動が対外的に評価され、Forbes Japan「いま注目のNPO 50」、「社会貢献者表彰」「風に立つライオン・オブ・ザ・イヤー」などに選出。代表の中野は、2023年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100」に選出。

よくある質問

このプロジェクトの目的は何ですか?

戦争で失われつつあるシリアの街並み、建築物、文化、日常などを3Dデータとして記録・保存し、未来へ継承することです。これにより、文化の断絶を防ぎ、将来の復興の精神的な土台を築くことを目指しています。

誰がこのプロジェクトを進めているのですか?

東京大学大学院の渡邉英徳研究室と、NPO法人Piece of Syriaが共同で進めています。シリア現地の考古学者、観光ガイド、アーティスト、映像作家なども協力しています。

関連イベントはありますか?

はい、2026年4月26日の14:00から17:00まで、JICA東京にてプロジェクトのデジタルアーカイブを体験できるワークショップや専門家による解説を含むイベントが開催されます。参加は無料です。