2026(令和8)年 6月 15日 国立大学法人岡山大学
<発表のポイント> 近年、環境負荷を低減しつつ効果的に害虫被害を抑える技術の開発が求められています。昨年、私たちは植物由来の天然成分である高濃度のカフェインを飲むとハエが死ぬことを発見しました。しかし他の分類群の害虫にも効果があるかはわかっていませんでした。
本研究では、貯穀害虫であるコクヌストモドキを対象に、カフェインが生活史形質に及ぼす影響を詳細に検討しました。成虫および幼虫に対し、カフェインを含む餌や溶液を用いて曝露実験を行い、寿命、発育速度、蛹化率、体サイズ、摂食量などの指標を測定しました。
その結果、高濃度のカフェイン(1%以上)は、雌雄ともに寿命を有意に短縮し、発育の遅延や蛹数の減少、体サイズの縮小を引き起こしました。一方、低濃度(0.01%)では蛹数の増加が認められたものの、個体サイズの縮小など、子孫の質の低下が確認されました。
結果はカフェインがコクヌストモドキの成長や繁殖に対して負の影響を及ぼし、天然由来の殺虫成分としての有効性を示唆しており、害虫管理の新たな手段としての応用が期待されます。
◆概要 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の大学院環境生命自然科学研究科博士課程3年(国費留学生)のShine Shane Naing(ミャンマー)と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の宮竹貴久教授らは、穀類などの害虫であるコクヌストモドキ(コウチュウ目)を材料として、カフェインを砂糖水に混ぜて飲ませ、寿命、発育速度、蛹化率、体サイズ、摂食量などへの影響を調べました。その結果、カフェインにはコクヌストモドキの成長や繁殖に対して負の影響を及ぼす効果のあることがわかり、天然由来の殺虫成分としての有効性が示唆されました。
またカフェインの過剰摂取はヒトにも有害な影響のあることがわかっていますが、昆虫にも過剰摂取は致命的であることが明らかとなり、基礎と応用でさらなる研究が必要であることがわかりました。
この研究成果は、2026年5月12日午前0時(日本時間)、Springerの日本応用動物昆虫学会誌「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されました。
◆宮竹貴久教授からのひとこと 高濃度のカフェインには昆虫に対して殺虫効果があり、今回の研究では甲虫の仲間の害虫に対しても、発育を遅らせるなど害虫の質の低下も引き起こすことがわかりました。今後、わが国に侵入した外来種のアリ類などにも、砂糖と混ぜて餌にするなど、他の分類群の害虫駆除に役立つかも知れません。
◆論文情報 論文名:Effect of caffeine on life-history traits on the red flour beetle, Tribolium castaneum (Coleoptera: Tenebrionidae) 邦題名:「カフェインがコクヌストモドキの生活史形質に及ぼす影響について」 掲載誌:Applied Entomology and Zoology (Springer) 著者:Shine Shane Naing, Teruhisa Matsuura, Takahisa Miyatake DOI:10.1007/s13355-026-00972-w URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s13355-026-00972-w
◆研究資金 本研究はJICA-国際協力機構(ミャンマー国「農業セクター中核人材育成」)および、MEXT(国費外国人留学生〔特別枠〕)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について 害虫もカフェインを飲むと死ぬ~貯穀を害する甲虫に与える影響を解明~ https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260512-1.pdf
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:調査