2026年7月、小米(01810-HK)の創業者・雷軍は発表会で全サイズの増程SUV『澎程 SkyNomad』を発表し、重資産・長期サイクルの戦略で自動車事業への決意を示そうとした。しかし、華やかな発表の裏で、小米はかつてない危機に直面している。スマートフォンの基盤事業は継続的に収益を失い、自動車事業は巨額の資金を消費し続けている。かつて高評価を受けていた『エコシステム物語』は、もはや市場から支持を得られなくなっている。

2025年6月の高値から、小米の株価は57%以上下落し、時価総額は約1兆香港ドル以上が蒸発した。

戦略の転換:純電から増程へ、現実路線へ

小米の自動車戦略は、受動的な修正を強いられている。かつてはSU7やYU7で純電動車市場に集中していたが、月間納車台数が約3万5000台で安定しているにもかかわらず、新エネルギー車市場の浸透率が6割を超え、既存市場での競争が激化する中で、小米は戦略見直しを余儀なくされた。

人民元30万40万の家庭用車市場で、理想(Li Auto)や問界(AITO)といったブランドと認知の壁を築くため、小米は『澎程』増程SUVを投入した。この新車は、年間50万台の納車目標達成の鍵とされている。

しかし、小米が直面する課題は、ブランド認知の変革にある。消費者の頭の中では、小米は『性能』『操縦性』と強く結びついており、突然家庭志向の増程車に舵を切ったことで、変化のコストが非常に高くなっている。さらに、増程車市場はすでに赤字競争の『レッドオーシャン』であり、製品競争が極めて激しく、小米が包囲網を突破できるかは不透明だ。

スマートフォン基盤:数量と価格の両面で打撃を受ける危機

自動車事業が資金を必要としている最中、小米のスマートフォン事業は『数量と価格の両面で打撃』を受けていた。2026年第1四半期、小米の世界出荷台数は前年比19.2%減少し、中国市場では35%急落し、トップ5メーカーから陥落した。メモリチップのコストが80~100%も暴騰したことで、粗利益率は10.1%まで低下し、2年ぶりの低水準となった。

小米は現在、『コスト・需要・競争』の三重のプレッシャーに挟まれている。内部では、主要素材のコスト上昇を消費者に転嫁できない。外部では、華為(ファーウェイ)がMateシリーズとPuraシリーズで強気に市場を奪還し、アップルは価格引き下げで中級市場を席巻している。このため、小米は高級市場への進出も難しく、既存のシェアも守れない状況に陥っている。

財務の警報:キャッシュフローと赤字の圧力

自動車事業の財務状況も深刻だ。2026年第1四半期、小米の自動車部門は31億元の営業赤字を計上し、1台あたりの純損失は約4万元に達した。赤字の主な要因は、車種の更新に伴う生産の空白期間、バッテリー原材料の価格上昇、および購入税補助の提供によるものだ。

さらに深刻なのはキャッシュフローの悪化である。小米の営業活動による純キャッシュフローは、近年初めてマイナスに転じ、-17.9億元を記録した。スマートフォン事業が安定したキャッシュインを生み出せない一方で、自動車とAIの研究開発(予算は160億元を維持)が資金を消費し続ける。この『はさみ差』が、小米の根本的な矛盾となっている。このため、小米は複数の部門で人員の最適化を開始し、財務負担の増大に対応している。

狭まる転換の窓

現在の評価は、資本市場が小米を高付加価値のエコシステム企業ではなく、伝統的なハードウェア製造業として見なしていることを示している。証券会社はAIが小米のエコシステムを再構築できる可能性に期待を寄せているが、現実には、軽資産モデルから重資産モデルへの移行に伴う激痛を小米は耐えている最中である。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:新製品
  • 製品・サービス:SU7 / YU7