国連大学が新報告書を発表:重要鉱物の採掘で水不足が深刻化
国連大学(UNU-INWEH)は、EVやデジタル技術に不可欠な重要鉱物の採掘が、採掘地域で深刻な水不足や健康被害、社会的・環境的不正義を引き起こしているとする新報告書を発表しました。持続可能なエネルギー転換のためには、国際的なガバナンスの抜本的改革が必要だと提言しています。
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- 📰 発表: 2026年4月29日 22:17
- 🔍 収集: 2026年4月29日 13:31
- 🤖 AI分析完了: 2026年4月29日 14:03(収集から31分後)
電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、デジタル技術の普及に伴い、これらのインフラや機器の生産に必要なリチウムやコバルトなどの重要鉱物(クリティカルミネラル)への需要が高まっています。その一方で、重要鉱物の採掘は、採掘地域の水不足や環境汚染、深刻な健康被害を引き起こしていると指摘する新たな報告書を国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)が公表しました。
報告書『Critical Minerals, Water Insecurity and Injustice(重要鉱物、水不安、そして不正義)』は、エネルギー転換やデジタル化が不可欠であることを前提としながらも、その恩恵が主に先進国に集中し、貧困層や先住民など、鉱物採掘地域の脆弱な人々に不均衡な負担が押し付けられている実態を明らかにしています。
報告書によりますと、2024年に世界で生産されたリチウムはおよそ24万トンですが、その生産には推定4,560億リットルの水が使用されました。これはサハラ以南のアフリカ地域で約6,200万人が1年間に使用する生活用水量に相当します。チリ北部のサラール・デ・アタカマでは、リチウム採掘のみで地域の水使用量の最大65%が消費され、地下水位の大幅な低下が報告されています。
重要鉱物の埋蔵地域に偏りがあることも、こうした問題を深刻化させる要因の一つです。世界の重要鉱物埋蔵量の約16%が、すでに水の使用量が供給量を上回っている地域に存在し、エネルギー転換に必要な鉱物の54%が先住民の土地またはその近接地域に埋蔵されていると報告書は指摘しています。
また、重要鉱物の採掘に伴う健康面への影響も深刻です。コンゴ民主共和国では、鉱山周辺住民の72%が皮膚疾患を経験し、女性や少女の半数以上が婦人科系の健康問題を訴えています。新生児の先天異常の発生率も鉱山周辺地域で高い傾向が見られます。さらに、同国の採掘現場のおよそ3割では、十分な安全対策が講じられないまま子どもが労働に従事しています。
パリ協定の目標達成には、2040年までにリチウム需要が約9倍、コバルトとニッケル需要が倍増すると見込まれています。UNU-INWEH所長のカーヴェ・マダーニ教授は、「環境負荷を富裕層から貧困層へ、あるいは一部の人々や地域から別の人々・地域へと移し替えるだけでは、持続可能で公正なエネルギー転換とは言えません」と述べています。
報告書は、重要鉱物のサプライチェーンを巡る国際的なガバナンスの抜本的な改革が必要だと強調しています。法的拘束力を持つ国際的なデューデリジェンス基準の導入、排水ゼロ化を含む厳格な汚染・水管理、電池や電子機器のリサイクルの強化など循環型経済への投資、地域社会への公正な利益配分や先住民の自由意思による事前同意の確保などを提言しています。
報告書の筆頭著者であるアブラハム・ヌンボグ博士は次のように述べています。「ガバナンス不足を正さなければ、クリーンエネルギーの未来が、過去の化石燃料経済と同じ不正義の上に築かれることになります」
報告書『Critical Minerals, Water Insecurity and Injustice(重要鉱物、水不安、そして不正義)』はこちらからダウンロードできます。
本プレスリリースの原文(英語)はこちらからご覧いただけます。
国連大学について
国連大学は国連に所属するグローバルなシンクタンクであり大学院の教育機関です。本部は東京・渋谷にあり、日本に本部を置く唯一の国連機関です。国連大学の使命は、人類の生存、開発、福祉など国連とその加盟国が関心を寄せる緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組むため、共同研究や教育を通じて寄与することです。12カ国にわたる13の研究所が国連大学に所属し、研究・教育活動を展開しています。
UNU-INWEHについて
国連大学水・環境・健康研究所(UNU-INWEH)は、国連の学術部門である国連大学(United Nations University)を構成する13の研究所の一つです。「国連の水問題に関するシンクタンク」として知られ、世界各地で直面している水、環境、健康に関する重要課題に取り組んでいます。カナダのオンタリオ州リッチモンドヒルに拠点を置き、研究、研修、能力開発、知識の普及を通じて、国連および加盟国が直面する喫緊の地球規模の持続可能性と人間の安全保障の課題の解決に貢献しています。
報告書『Critical Minerals, Water Insecurity and Injustice(重要鉱物、水不安、そして不正義)』は、エネルギー転換やデジタル化が不可欠であることを前提としながらも、その恩恵が主に先進国に集中し、貧困層や先住民など、鉱物採掘地域の脆弱な人々に不均衡な負担が押し付けられている実態を明らかにしています。
報告書によりますと、2024年に世界で生産されたリチウムはおよそ24万トンですが、その生産には推定4,560億リットルの水が使用されました。これはサハラ以南のアフリカ地域で約6,200万人が1年間に使用する生活用水量に相当します。チリ北部のサラール・デ・アタカマでは、リチウム採掘のみで地域の水使用量の最大65%が消費され、地下水位の大幅な低下が報告されています。
重要鉱物の埋蔵地域に偏りがあることも、こうした問題を深刻化させる要因の一つです。世界の重要鉱物埋蔵量の約16%が、すでに水の使用量が供給量を上回っている地域に存在し、エネルギー転換に必要な鉱物の54%が先住民の土地またはその近接地域に埋蔵されていると報告書は指摘しています。
また、重要鉱物の採掘に伴う健康面への影響も深刻です。コンゴ民主共和国では、鉱山周辺住民の72%が皮膚疾患を経験し、女性や少女の半数以上が婦人科系の健康問題を訴えています。新生児の先天異常の発生率も鉱山周辺地域で高い傾向が見られます。さらに、同国の採掘現場のおよそ3割では、十分な安全対策が講じられないまま子どもが労働に従事しています。
パリ協定の目標達成には、2040年までにリチウム需要が約9倍、コバルトとニッケル需要が倍増すると見込まれています。UNU-INWEH所長のカーヴェ・マダーニ教授は、「環境負荷を富裕層から貧困層へ、あるいは一部の人々や地域から別の人々・地域へと移し替えるだけでは、持続可能で公正なエネルギー転換とは言えません」と述べています。
報告書は、重要鉱物のサプライチェーンを巡る国際的なガバナンスの抜本的な改革が必要だと強調しています。法的拘束力を持つ国際的なデューデリジェンス基準の導入、排水ゼロ化を含む厳格な汚染・水管理、電池や電子機器のリサイクルの強化など循環型経済への投資、地域社会への公正な利益配分や先住民の自由意思による事前同意の確保などを提言しています。
報告書の筆頭著者であるアブラハム・ヌンボグ博士は次のように述べています。「ガバナンス不足を正さなければ、クリーンエネルギーの未来が、過去の化石燃料経済と同じ不正義の上に築かれることになります」
報告書『Critical Minerals, Water Insecurity and Injustice(重要鉱物、水不安、そして不正義)』はこちらからダウンロードできます。
本プレスリリースの原文(英語)はこちらからご覧いただけます。
国連大学について
国連大学は国連に所属するグローバルなシンクタンクであり大学院の教育機関です。本部は東京・渋谷にあり、日本に本部を置く唯一の国連機関です。国連大学の使命は、人類の生存、開発、福祉など国連とその加盟国が関心を寄せる緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組むため、共同研究や教育を通じて寄与することです。12カ国にわたる13の研究所が国連大学に所属し、研究・教育活動を展開しています。
UNU-INWEHについて
国連大学水・環境・健康研究所(UNU-INWEH)は、国連の学術部門である国連大学(United Nations University)を構成する13の研究所の一つです。「国連の水問題に関するシンクタンク」として知られ、世界各地で直面している水、環境、健康に関する重要課題に取り組んでいます。カナダのオンタリオ州リッチモンドヒルに拠点を置き、研究、研修、能力開発、知識の普及を通じて、国連および加盟国が直面する喫緊の地球規模の持続可能性と人間の安全保障の課題の解決に貢献しています。