【研究発表】避難訓練が、地域の想定災害と合っていない──12都府県2,577名調査で見えた「想定」と「訓練」のズレ

NPO法人減災教育普及協会は日本大学との共同研究により、教育・保育関係者を対象とした調査を実施。避難訓練の内容と地域災害想定との間に大きな乖離があることを明らかにし、判断力を養う「避難訓練2.0」への再構成を提案した。
調査NQ 88/100出典:PR Times

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  • 📰 発表: 2026年5月25日 19:08
  • 🔍 収集: 2026年5月25日 10:31
  • 🤖 AI分析完了: 2026年5月25日 22:31(収集から11時間59分後)
保育園や学校で繰り返される避難訓練。

しかし、その訓練は「この地域で実際に起こりうる災害」をもとに設計されているのでしょうか。

NPO法人減災教育普及協会(理事長:江夏猛史)は、日本大学危機管理学部 秦 康範教授との共同研究として、12都府県の教育・保育関係者2,577名を対象に調査を実施しました。

調査結果:想定災害の認識状況
85%:地域の想定災害を「知らなかった」または「想像と異なっていた」と回答
69%:現在の備えや訓練について「想定に足りていない」または「分からない」と回答

見えてきたのは、避難訓練をしていないという問題ではありません。特に保育園・幼稚園・認定こども園などでは、毎月のように避難訓練が行われており、現場は真剣に取り組んでいます。しかし、地域で想定される揺れの強さ、津波の有無、避難経路の危険性、建物の条件などと、日々の訓練内容が十分につながっていない可能性があります。

本研究は、こうした避難訓練の構造的課題を明らかにし、地域防災計画や被害想定を起点に、子どもや教職員が状況を見て判断し、行動できる訓練へ再構成する必要性を提案するものです。

本研究成果は、2026年3月、日本災害情報学会第32回学会大会にて発表されました。

発表論文:「『判断力を育てにくい』避難訓練の構造的課題─地域防災計画と被害想定に基づく訓練設計の再構成─」

著者:江夏 猛史(NPO法人減災教育普及協会 理事長)、秦 康範(日本大学 危機管理学部 教授)

【研究発表】30年変わらぬ日本の避難訓練に科学的メス。
課題:「想定」と「訓練」のズレ
地域には、地震・津波・土砂災害・浸水・建物被害・避難経路の危険など、あらかじめ想定されている災害や被害があります。しかし実際の避難訓練では、その想定を確認しないまま、放送を聞く、静かに並ぶ、決められた場所へ移動する、速く避難するといった手順の確認だけで終わってしまうことがあります。

本来、避難訓練は「どんな被害が起こり得るのか」を知ったうえで、「その被害に対してどう行動するか」を練習するものです。想定される被害と訓練内容がつながっていなければ、想定内の災害であっても、現場では想定外になってしまいます。

避難訓練は、地域の被害想定から設計する必要があります。

避難訓練2.0では、まず「どんな被害が起こり得るのか」を知り、その場の危険を見つけ、より危険の少ない行動を選ぶ力を育てます。

避難訓練は、指示通りに動けるかを確認するだけの時間ではありません。想定される被害に合わせて、子ども自身が危険を予測し、気づき、判断し、行動できるようにするための教育です。

現場の変化
実証地域では、従来の固定姿勢を反復する訓練から、地域の被害想定を踏まえて状況を判断し行動を選択する訓練への転換が始まっています。

よくある質問

この研究調査の対象となったのは誰ですか?

東京、神奈川、静岡、徳島、愛媛、高知、愛知、福井、栃木、富山、京都、大阪の12都府県に在住する教育・保育関係者2,577名です。

現在の避難訓練における課題は何ですか?

85%が地域の想定災害を認識しておらず、訓練内容と地域の実際の災害リスクや被害想定が十分に結びついていないという構造的課題があります。

研究チームが提唱する「避難訓練2.0」とは何ですか?

単なる固定姿勢の反復ではなく、地域の被害想定を知った上で、子ども自身が危険を予測・判断し、行動を選択できる力を養う訓練へのアップデートです。

本研究の成果はどこで発表されましたか?

2026年3月14日〜15日に東京大学で開催された「日本災害情報学会第32回学会大会」にて発表されました。

本研究の主要な提案は何ですか?

従来の指示通りに動く訓練から、地域防災計画や被害想定を起点とし、状況判断と自律的な行動を可能にする訓練体系への再構成です。