⽇本各地の職⼈やアーティスト、⾃然ガイドと連携し、訪⽇外国⼈向けに文化アクティビティを開発・提供している「Deeper Japan」を運営するディーパートラベル株式会社(本社:東京都世田谷区/代表:⽯川光)は、既存の展開エリアである京都エリアにおいて、新たに17の体験商品を追加いたしました。今回の追加により京都エリアは50商品を超え、全国400商品超を展開するDeeper Japanの中でも、東京に次ぐ主力エリアとしてさらに充実します。
Deeper Japan 京都エリア https://deeperjapan.com/kyoto
日本の音を、絹から紡ぐ工房
「絃は楽器に張った時に伸びたらアカン」
京都・上京区の路地の奥、町家の工房で、10代目はそう言って笑いました。当たり前のことを当たり前に語る。けれど、その「当たり前」を50年以上にわたって守り続けてきた人の言葉には、静かな重みがあります。
この工房は、1655年に京都・伏見で染物業として創業しました。幕末の1849年、6代目が絃の製造を始めたのは、染物と絃がともに絹糸を扱い、絃の製造工程にも染色が含まれるという縁からでした。以来170年以上、当代の10代目まで絃づくりの技を受け継いでいます。
三味線、琴、琵琶、沖縄三線、さらには中国の古琴まで——この工房でつくれない絃楽器の絃はありません。三味線だけでも200種以上の絃があり、太さの異なる一本一本に番号が振られています。
絃づくりは、生糸を半日ほど水に浸すことから始まります。濡れたままの状態で反時計回りに撚りをかける「下撚り」。続いて糸をまとめ、今度は逆方向に撚る「上撚り」。その後、半日かけて人の手で力いっぱい引き伸ばしながら乾燥させます。この工程が、絃に撥にも耐える弾力と強度を与えるのです。
「最初のうちは糸が指に食い込んで、指が切れてしまうこともあるんです。切れたところにまた糸が入って……なんてこともある。自然に手の皮も分厚くなっていくものですね」
さらりと語るけれど、50年間、その手で絹糸を引っ張り続けてきたのだと思うと、言葉の重さが変わります。
原料には、接着部分である膠質を多く含み、硬く仕上がる滋賀県産の生糸を使っています。流通する絹の多くが外国産となった今も、国産の絹糸にこだわり続ける。しかし、かつて日本の花形産業だった製糸業者は高齢化で減り、蚕の種類も生産量も減少しています。原料の確保は、年々難しくなっているのが現実です。
「琴に関して言えば、今や9割くらいが化学繊維の絃です」
邦楽の演奏人口が減り、化学繊維が普及する中で、絹糸の絃を求める人は少なくなっています。しかし10代目は、その状況を嘆くのではなく、静かに受け止めています。
「私どもは楽器に絃をかけるところまではしません。でも、その先のことを考えて、誇りをもって絃を製造しています」
糸の太さも強度も、一定の品質を維持しなければならない。けれど、絹は動物性繊維だから、同じ長さに切っても太さが均一とは限りません。だから毎回、重さを測りながら、一本一本の品質を揃えていく。その地道な仕事が、演奏家の手元に届く絃の信頼をつくっています。
「絹糸は楽器にやさしい素材だと演奏家の方に言われたことがあって、とても嬉しく思いました」
伝統を守るだけではありません。沖縄三線向けにピンクや水色のカラフルな絃を開発するなど、新しい試みにも挑み続けています。そしてこの工房は、雅楽の絃を製造できる唯一の存在でもあります。宮中の儀式で奏でられる千年以上の音楽が、ここでつくられる絹の絃によって今も支えられています。
戦前は京都だけでも10軒はあった絃師の工房。今では全国で片手で数えるほどしか残っていません。2015年には国の無形文化財「選定保存技術保持者」に認定されました。父である先代もまた、1979年に同じ認定を受けています。親子二代にわたる保持者は極めて稀なことです。
「原料が手に入る限り、続けていきたい。そう思っています」
京都の路地の奥で、今日も静かに絃を撚り続ける工房があります。Deeper Japanは、こうした文化の担い手と旅行者を直接結びつけることで、旅行者の好奇心に応え、事業者の技の継承に貢献したいと考えています。今回の京都エリア17商品の追加も、その出会いの選択肢を広げる取り組みのひとつです。
今回Deeper Japanが新たに提携した17組の職人・文化の担い手をご紹介します。
新商品のご紹介
絹糸が奏でる日本の音
1655年創業、10代目が受け継ぐ京都の絃工房。三味線、琴、琵琶から雅楽器まで、あらゆる和楽器の絃を国産の絹糸から手づくりしています。雅楽の絃を製造できる唯一の存在であり、当主は国の無形文化財保持者。絃の製造工程を間近に見学し、お茶をいただきながら語り合う体験です。
一塊の木に仏を見る ─ 仏師の工房
中学の修学旅行で博物館に展示された木造仏に心を奪われ、仏師の道を志したという職人。京都の師匠のもとで20年の修行を積み、独立しました。「木が持つ気配を作品に宿したい。いつか国宝となるような仏像を残したい」と語る仏師の工房を訪れ、楠の木から仏像が彫り出されていく工程を見学する体験です。
「虹の苔寺」で座禅と庭園を味わう
東福寺の塔頭として知られるこの臨済宗寺院は、昭和の名作庭家・重森三玲が手がけた枯山水庭園「波心庭」を有し、「虹の苔寺」の愛称で親しまれています。苔と石と光が織りなす庭を眺めながら、僧侶の案内で境内を巡り、座禅に取り組み、お茶をいただくプログラムです。
親子二代の弓師 ─ 京弓の工房
1534年の創業以来、約490年にわたり竹弓をつくり続ける、日本で唯一の京弓の工房。当代は21代目。「古いから何なん。今やっていることが一番大事やんか」と語るその姿勢は、伝統という言葉に甘えない職人の矜持を感じさせます。京都の厳しい気候で育ち繊維密度の高い竹を3年かけて仕立て、弓に仕上げていく工程を見学し、実際に弓を引く体験もできるプログラムです。
二人の名匠が率いる手描き京友禅
「京の名匠」と称される職人と、日本初の女性伝統工芸士「京の名工」に選ばれた妻が夫婦で設立した工房。下絵から彩色まで10以上の工程を専門の職人が分業で仕上げる、京友禅の原点ともいえる手描きの技法を学び、実際に筆を持って染めに取り組む体験です。
京料理の要 ─ 昆布の奥深い世界
海のない京都で、なぜ昆布が食文化の中心にあるのか。その歴史は、北前船が北海道の昆布を運んだ時代にまで遡ります。昆布の専門家のもとで、産地や種類による味の違い、出汁の引き方を学びながら、京料理における昆布の役割を五感で体感するプログラムです。
京の職人を支える刃物
1651年に日本剃刀の鍛冶屋として開業し、六角堂の前に店を構えて約250年。錦市場の料理人には庖丁を、西陣の織り手には裁ち鋏を、華道家には花鋏を——京都の文化を担う職人たちの刃物を、使い手に合わせて一丁から誂えてきました。7代目の鍛冶場で鍛造の歴史と技法を学び、自ら槌を振って刃物を打つ体験です。
「今ここにいる自己」に出会う座禅
観光地の喧
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:提携
- 製品・サービス:文化体験プログラム / 職人ワークショップ