SIGQ、プラス、SAMURAI ARCHITECTSが「AI事業開発勉強会」を共同開催 フィジカルAI時代の信頼性設計を提唱

2026年4月27日、プラス株式会社、株式会社SAMURAI ARCHITECTS、株式会社SIGQの3社は「AI事業開発勉強会」を開催した。SIGQ代表の金築敬晃氏が登壇し、LLMの基礎やAI事業のスケール感について解説。さらに、製造ロボットや自動運転などのフィジカルAIが普及する中、インシデント発生時に安全側に動作する「フェールセーフ」の発想を取り入れた「信頼性の設計」が不可欠であると強調した。
イベントNQ 80/100出典:PR Times

📋 記事の処理履歴

  • 📰 発表: 2026年5月26日 02:26
  • 🔍 収集: 2026年5月25日 18:01
  • 🤖 AI分析完了: 2026年5月25日 18:32(収集から30分後)
2026年4月27日、プラス株式会社、株式会社SAMURAI ARCHITECTS、株式会社SIGQの3社は、「AI事業開発勉強会」を開催しました。本勉強会では、弊社代表の金築 敬晃が登壇し、事業開発およびフィジカルAIの観点から、AIの現状と今後の可能性について解説しました。本記事では、SIGQが掲げる「信頼性を設計する」ミッションとも関連する、講演の概要をお届けします。

国家予算に匹敵 AI時代のビジネスのスケール感

冒頭で金築は、まずAIの技術的な基礎について解説しました。

普段ChatGPTやClaude、Geminiなどに触れていると、AIとLLM(大規模言語モデル)を同じものとして捉えてしまいがちですが、LLMはあくまでAIの一種にすぎません。AIという広い概念の中にディープラーニングや機械学習があり、その中でも近年とりわけ存在感を強めているのがLLMという位置付けです。

LLMは、なぜ人間の問いに対して、自然な回答を返せるのでしょうか。LLMは、書籍やウェブ上の文章など、世の中に存在する膨大なデータから、文脈に応じた言葉の繋がり方やパターンを学習しています。そして文章が入力されると、大量の候補の中から、次にどの言葉が続くと自然になるか確率計算を行い、もっとも「それらしい(確率の高い)」言葉を出力します。この処理を積み重ねることで、意味の通った回答が生成されるのです。こうした仕組みを活用したサービスは、契約書の要約、翻訳、メール文面の作成、資料作成など、すでに多くの業務に取り入れられています。現代のAIは、大量のデータ処理によって支えられているのです。

続いて金築が紹介したのは、AI時代における事業成長のスケールです。金築は、クイズ形式で、Uberが営業黒字化までに要した時間と費用を参加者に尋ねました。答えは14年、約4.5兆円。社会インフラと呼べるまでに事業を育てるには、それだけの長い時間と巨額の赤字を引き受ける覚悟が必要だったのです。一方で、ChatGPTと並ぶ存在であるClaudeを開発するAnthropic社は、創業からわずか5年で年換算4.5兆円規模の売上を実現しているといいます。さらに講演直前には、GoogleがそのAnthropicに対して6.4兆円もの追加出資を行ったというニュースが報じられました。いまや、日本の年間防衛予算の7〜8割に匹敵する額が、一社のスタートアップに投じられているのです。さらに金築は、海外の顧客やテックコミュニティとの交流など、豊富な海外経験を通じて得たシリコンバレーのリアルな人材事情を紹介しながら、AIの登場が事業の成長カーブそのものを書き換えつつある時代のインパクトを伝えました。

現実世界へ広がるフィジカルAIの可能性

さらにAIの活動領域はデジタル空間にとどまらず、現実世界へと広がりつつあります。金築はこうした現状を踏まえ、最新事例を交えながら、フィジカルAIがいかに精度と実用性を高めているかを紹介しました。

1つ目は、上海企業が開発した製造業向けロボット「AGIBOT G2」です。タブレット端末の組み立てや修理など、わずかな位置ずれが致命的な故障につながる精密作業に対応し、ミリ単位で位置を調整しながら作業を進めます。工場内を必要に応じて自律走行する機能も備えています。

最大の特徴は、失敗から自ら学習する点です。人間の指導を受けることもあれば、自ら原因を分析して修正することもあり、こうした経験を積み重ねて精度を高めていきます。従来AI導入が難しいとされた精密機器の生産現場でも実用化が進みつつあり、人口減少に伴う人手不足への対応策として期待されている、と金築は語ります。

2つ目は、自動運転です。自動運転自体は、15年から20年ほど前から研究されてきた技術ですが、海外では社会実装の段階に近づいています。サンフランシスコでは運転手のいないタクシーがすでに街中を走っており、アプリで行き先を指定すれば、そのまま目的地まで連れて行ってくれます。日本でも自動運転車の走行データ取得が始まっているものの、日本の細い生活道路のような複雑な環境では、まだ多くの課題があるとも付け加えました。

3つ目は、ソニーが開発した卓球ロボット「Ace」です。打球がどこに、どんな回転で飛んでくるのかをカメラで捉え、ラケットを当てる角度やスピンまで含めて1秒未満で計算して打ち返します。金築は、卓球のプロ選手との対戦においてAceが全試合で勝利したというエピソードを紹介し、その高度な技術力を強調しました。卓球のように、短い時間で連続的に判断と動作を繰り返す競技を制したことは、フィジカルAIの応用範囲の広さを象徴する出来事だといえるでしょう。

フィジカルAIの進化は、AIが単に文章や画像を生成する存在ではなく、現実の空間で判断し、動作する存在になりつつあることを示しています。だからこそ、その挙動が誤った時に何が起きるのかという問いが、ビジネスと社会にとって重みを増しつつあるのです。

AIが浸透する社会で信頼性を設計する

講演の質疑応答では、参加者から印象的な質問が投げかけられました。AIが確率に基づいて判断する以上、誤りはゼロにはならない。資料であれば人間がレビューして修正できるが、命に関わるフィジカルAIではどう責任を担保するのか、というものです。

これに対する金築の答えは、フィジカルAIにおいても、工学における「フェールセーフ」を取り入れることです。フェールセーフとは、システムにおいて故障や誤操作など何らかのインシデントが発生した場合に、危険な方向へ動作し続けるのではなく、必ず安全側に動作するよう設計するという考え方です。例えば、製造現場の機械は異常を検知すると稼働を停止します。同様に、フィジカルAIにおいても、インシデント発生時には安全な動作へ移行するよう設計する必要があると、金築は主張します。実際、自動運転の分野でも、危険を検知した際にはブレーキを優先するなど、安全性を重視した制御が取り入れられています。AIの判断を信頼するためには、常に完璧であることを前提とするのではなく、適切に判断できない状況でも安全を確保できる仕組みを備えることが重要なのです。

実は、フェールセーフの発想は、SIGQがこれまで培ってきたインシデント対応や、信頼性の継続的な改善に関する知見と深い繋がりがあります。

SIGQの事業の中核にあるのは、「信頼性の設計」です。金築自身、約10年にわたり大量データ処理とSRE(Site Reliability Engineering)を軸にエンジニアとしてのキャリアを積む一方で、データベースや大規模分散システムの研究に取り組んできました。そうした知見は、インシデント対応を支援するプロフェッショナルサービスや、自律型AIエージェント「Incident Lake」の開発に活かされています。システムの信頼性と、AIに不可欠な大量データ、この二つの専門性が交わる場所こそが、SIGQの事業領域です。

AIが現実世界へと進出し、人命や巨額のビジネスに関わるようになった今、信頼性設計は単なる技術的課題にとどまらず、事業継続の根源的な要件となっています。

よくある質問

勉強会で強調されたフィジカルAIの課題は何ですか?

誤動作時に命や重大なインシデントに直結するため、安全を担保する設計が課題とされました。

フェールセーフとは何ですか?

故障や異常時に危険な方向へ動かず、必ず安全側に動作するよう設計するシステム工学の考え方です。

SIGQの強みは何ですか?

大量データ処理とSREの知見を活かし、AIシステムの信頼性を高める設計やインシデント対応です。