2026年のFIFAワールドカップで、ブラジル代表はアメリカ・ニュージャージーで開幕戦を迎えた。相手はモロッコ代表。試合は1対1の引き分けに終わり、ブラジルは初戦で勝ち点1を獲得した。

この試合、注目を集めたのは、エースであるネイマール(Neymar)の欠場だった。右ふくらはぎの負傷により、彼は5月以降、一度も公式戦に出場できていない。そのため、本来なら彼が着用するはずの象徴的な10番のジャージは、他の選手に託されることになった。

その代役として先発出場したのが、レアル・マドリード所属の若きスター、ヴィニシウス・ジュニア(Vinicius Jr.)だった。彼は過去に一時的に10番を着用したこともあるが、今大会ではあえて7番を選び、ピッチに立った。そして、試合中、彼はチームを救う同点ゴールを決めた。この得点により、ブラジルは開幕戦で敗れる危機を回避したのである。

ブラジル代表における10番の重みは、世界的にも類を見ないものがある。その起源は、伝説のプレーヤーであるペレ(Pelé)にさかのぼる。彼は1958年、わずか17歳でスウェーデンでのW杯に出場し、10番を背負って初優勝を果たした。その後も1962年1970年と連覇を達成し、10番は「天才」「司令塔」「チームの顔」としての象徴となった。

以来、ブラジルのみならず、世界中のサッカーファンにとって10番は特別な意味を持つ。アルゼンチンのディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)、リオネル・メッシ(Lionel Messi)、フランスのミシェル・プラティニ(Michel Platini)、ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)といった歴代の偉大なプレーヤーたちも、この背番号を着用してきた。

ブラジルのスポーツジャーナリスト、ジュカ・クフォーリ(Juca Kfouri)は、「10番が重いのは、人々が常にペレの姿を思い浮かべるからだ」と語る。この言葉が示す通り、10番を着る者は、単なる選手ではなく、歴史と期待を背負ってプレーするのである。

興味深いことに、ペレが10番を着ることになったのは、実は偶然だった。1958年のW杯当時、ブラジル代表は行政的な手違いで選手名簿を提出し損ねた。その結果、抽選で背番号が割り振られ、当時17歳だったペレに10番が割り当てられた。それが、歴史的な伝説の始まりとなったのである。

今回の開幕戦で10番が不在だったことも、あの「偶然の伝説」と重なる形となり、多くのファンの記憶を呼び覚ました。

一方で、他の背番号にもブラジルサッカーの歴史が刻まれている。7番は、かつて「魔術師」の異名を取ったガリンシャ(Garrincha)が着用。現在はヴィニシウスがその伝統を引き継いでいる。また、9番は元代表FWロナウド(Ronaldo)が象徴的な存在だったが、現在はマテウス・クーニャ(Matheus Cunha)が着用している。

これらの数字は、単なる識別番号ではなく、ブラジルサッカーの文化と誇りを象徴している。選手たちは、その背番号に込められた物語と責任を意識しながら、ピッチに立っているのである。

ブラジル代表の次戦は、ハイチとの対戦が予定されている。注目は、ネイマールが回復して10番を着て戻ってこられるかどうか。また、ヴィニシウスが7番として、今後もチームを牽引できるか、という点にある。サッカーファンの関心は、ますます高まっている。(編集:田瑞華)

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  • 出典:中央社 CNA
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