中央銀行が本日発表した5月の国銀人民幣業務概況によると、中東の緊張情勢の高まりを受けて、企業がリスク回避の観点から資金を米ドルに移動させた結果、人民元預金残高が2カ月連続で減少し、1046.81億元まで下落した。これは2010年10月以来、実に12年半ぶりの低水準であり、1000億元の大台維持が懸念される状況となっている。
中央銀行の統計によれば、5月末時点での外貨指定銀行(DBU)の人民元預金残高は807.77億元と、前月比10.44億元減少。国際金融業務分行(OBU)も10.63億元減少し、239.04億元となった。合計で1046.81億元と、2010年10月以来の最低水準を記録した。
央行関係者は、DBUの預金残高の減少について、「企業の輸入支払いに加え、主に中東情勢の影響」と説明。4月から5月にかけての中東の地政学的緊張、特に米国とイランの交渉停滞により、市場のリスク回避姿勢が強まり、米国インフレの上昇傾向も相まって、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ延期や利上げの可能性が意識され、ドルインデックスが上昇したと指摘した。
こうした環境下で、企業が米ドル高を予想し、リスクヘッジとしてドル需要が高まったため、ポートフォリオの見直しとドル資産へのシフトが進んだという。
今後の見通しについては、米イラン対立の調停国であるパキスタンが和平合意に達したと発表し、双方がこれを確認。6月19日にスイスで調印式が予定されているが、央行関係者は「企業の資金配分やヘッジ戦略は短期間で急激に変化するものではない。中東情勢の今後を注視する必要がある」と述べ、6月の人民元預金動向は不透明とみている。
一方、中央銀行は本日、最新の人民元専門金利も公表した。1か月物では永豐銀行の4.2%が最高。3か月物は中信銀行の1.3%、6か月物は永豐銀行の1.3%、1年物は陽信銀行の1.2%がトップ金利となった。
央行関係者は「経済情勢を踏まえ、市場はFRBが短期間で利下げを行うとは考えておらず、米ドル金利が人民元に対して優位にあるため、企業の資金配分にも影響を与えている」と指摘。最近数カ月のデータから、地政学的リスクが高まる時期に企業が米ドルへ資金を移動させる傾向が明確に現れていると分析している。(編集:楊蘭軒)
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