テラヘルツ波で物質の「ねじれ」を“地図”のように可視化 ―次世代材料や次世代通信の開発を支える新分光イメージング技術を確立―
Key facts
- テラヘルツ波で物質の「ねじれ」を“地図”のように可視化 ―次世代材料や次世代通信の開発を支える新分光イメージング技術を確立―
- 千葉大学、東北大学、物質・材料研究機構の研究チームは、銀の微細な円盤を重ね合わせた「モアレ型メタ表面」を用いて、物質の「右ねじれ」と「左ねじれ」(キラリティ)の空間分布をテラヘルツ波で二次元画像として直接観測できる新しい分光イメージング技術を開発しました。従来の平均化測定では不可能だった、異なるキラリティが混在する様子の可視化に世界で初めて成功しました。本成果は2026年6月2日に学術誌ACS Photonicsに掲載され、次世代材料の品質評価や生体分子構造解析、6G通信デバイス開発などへの応用が期待されます。
- Source: PR Times
- Date: 2026年6月3日
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千葉大学、東北大学、物質・材料研究機構の研究チームは、銀の微細な円盤を重ね合わせた「モアレ型メタ表面」を用いて、物質の「右ねじれ」と「左ねじれ」(キラリティ)の空間分布をテラヘルツ波で二次元画像として直接観測できる新しい分光イメージング技術を開発しました。従来の平均化測定では不可能だった、異なるキラリティが混在する様子の可視化に世界で初めて成功しました。本成果は2026年6月2日に学術誌ACS Photonicsに掲載され、次世代材料の品質評価や生体分子構造解析、6G通信デバイス開発などへの応用が期待されます。
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- テラヘルツ波で物質の「ねじれ」を“地図”のように可視化 ―次世代材料や次世代通信の開発を支える新分光イメージング技術を確立― (2026年6月3日), PR Times
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- PR Times
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- 2026年6月3日
千葉大学、東北大学、物質・材料研究機構の研究チームは、銀の微細な円盤を重ね合わせた「モアレ型メタ表面」を用いて、物質の「右ねじれ」と「左ねじれ」(キラリティ)の空間分布をテラヘルツ波で二次元画像として直接観測できる新しい分光イメージング技術を開発しました。従来の平均化測定では不可能だった、異なるキラリティが混在する様子の可視化に世界で初めて成功しました。本成果は2026年6月2日に学術誌ACS Photonicsに掲載され、次世代材料の品質評価や生体分子構造解析、6G通信デバイス開発などへの応用が期待されます。
📋 記事の処理履歴
- 📰 発表: 2026年6月3日 19:00
- 🔍 収集: 2026年6月3日 10:21
- 🤖 AI分析完了: 2026年6月7日 01:49(収集から87時間28分後)
千葉大学大学院融合理工学府博士前期課程 千葉 初奈氏(研究当時)、同大大学院工学研究院の宮本 克彦教授、東北大学大学院理学研究科 大野 誠吾助教、物質・材料研究機構 三成 剛生グループリーダーの研究チームは、銀の微細な円盤を重ね合わせた「モアレ型メタ表面」という人工構造体を使用し、これまで計測不可能だった物質が持つ「右ねじれ」と「左ねじれ」(キラリティ)の空間分布を、テラヘルツ(THz)波によって二次元画像として直接観測できる新しい分光イメージング技術を開発しました。従来のテラヘルツ円二色性(CD)計測では、試料全体を平均した情報しか得られず、場所ごとに異なるキラリティが存在していてもその違いを捉えることは困難でしたが、本研究では異なるキラリティが混在する様子を世界で初めて可視化することに成功しました。本成果は次世代材料の品質評価や、生体分子構造の解析、新しいテラヘルツデバイス開発などへの応用が期待されます。本研究成果は、2026年6月2日(米国東部時間)に、学術誌 ACS Photonics に掲載されました(論文はこちら:10.1021/acsphotonics.6c00372)。
図:テラヘルツ円偏光二色性イメージングおよび分光結果:構造の鏡像関係に対応して、右・左のキラリティ応答が反転する様子が観測される。物質内部に分布するキラリティを二次元画像として可視化できることを示している。
■研究の背景
物質には、右回りのネジと左回りのネジのように、鏡に映した像が元の形と重ならない「キラリティ(鏡像異性)」という性質があります。このキラリティを調べる代表的な手法が「円二色性(CD)計測」であり、創薬や材料科学において広く利用されています。特にテラヘルツ波は、分子集団の振動やタンパク質の高次構造など、物質の「低エネルギー領域」の動きに敏感であるため、可視光や赤外線では見えにくい立体的な「ねじれ」構造を調べる手段として注目されています。しかし、従来のテラヘルツ波によるCD計測は、試料全体を平均的に測定する「点測定」が主流でした。そのため試料内部に異なるキラリティが分布している場合、それぞれの信号が打ち消し合い、局所的な構造情報を取得できないという課題がありました。このような背景から、キラリティの空間分布を直接“見える化”できる新しい計測技術の確立が求められていました。
■研究成果のポイント
1. 世界初の高精度テラヘルツ・キラリティ撮像技術の開発: 3~6テラヘルツという非常に広い周波数帯域で、光の「右巻き・左巻き」を正確に見分けることができる分光イメージング装置を構築した。これにより、髪の毛の太さ程度の空間分解能で、キラリティ分布のマッピングが可能となった。
2. 人工構造体「モアレ」を利用してねじれを自由に設計: 銀の円盤を並べたシートを、わずかに角度をずらして重ねることで生じる「モアレ模様」を利用した。この人工構造体(メタ表面)によって、右回りと左回りのキラリティが複雑に混在する状態を人工的に作り出し、検証モデルとして活用した。
3. 「右ねじれ」と「左ねじれ」の反転現象を直接観測: イメージングの結果、一枚のシートの中に「右巻きの性質を示す領域」と「左巻きの性質を示す領域」が交互に並んでいる様子を可視化した。これは従来の平均化された測定では決して観測できなかった現象である。
4. ミクロ構造とマクロ構造が相互作用する仕組みを解明: 円盤1つ1つの配置(ミクロ構造)と、重ね合わせによって生じる大きな模様(マクロ構造)の両方が、テラヘルツ波との相互作用を支配していることを理論と実験の両面から証明した。
■今後の展望
本研究で確立したイメージングプラットフォームは、今後2~15テラヘルツまでのより広い周波数帯への拡張が期待されます。テラヘルツ波による「ねじれの可視化」は、目に見えないミクロ構造を解析する新しい基盤技術として、以下のような分野への応用が期待されます。
医療・創薬: タンパク質の異常凝集体(アミロイドなど)の分布を可視化する新しい診断技術
超高速通信: 次世代の通信(6G)で求められる光のねじれを利用した高度な信号制御デバイス評価・検査
新材料開発: 量子材料やソフトマテリアル内部の微細な構造のゆがみを検出し、材料特性の向上に繋げる解析技術
■用語解説
注1)モアレ型メタ表面:2つの規則的な微細構造をわずかにずらして重ねることで生じるモアレ構造を、テラヘルツ波に対して人工的に実現した平面材料。通常は現れない「ねじれ構造」による特異な波動制御が可能となる。
注2)キラリティ(鏡像異性):物体や分子が、鏡に映した像と元の形が重ならない性質のこと。右ねじと左ねじの関係が代表例で、「右向き」「左向き」という向きの違いが物質の性質や働きに大きく影響する。創薬や材料科学では、この違いを見分けることが重要となる。
注3)テラヘルツ(THz)波:電波と光(赤外線)の中間に位置する電磁波で、1秒間に約1兆回振動する周波数帯を持つ。分子や材料の集団的な振動や柔らかい動きに敏感で、可視光では見えない物質の内部構造を調べる手段として注目されている。
注4)円二色性(Circular Dichroism:CD):右回りと左回りに回転する円偏光の光に対して、物質が異なる反応を示す性質のこと。物質の「右ねじれ・左ねじれ」を調べる代表的な手法で、分子や材料の立体構造の解析に広く用いられる。
■論文情報
タイトル:Multiscale chirality in moiré metasurfaces revealed by terahertz circular dichroism spectroscopic imaging
著者:Uina Chiba, Shota Tsuji, Gaku Oritani, Takumi Yoichi, Rinpei Sasaki, Takeo Minari, Seigo Ohno, Katsuhiko Miyamoto
雑誌名:ACS Photonics
DOI:10.1021/acsphotonics.6c00372
■研究プロジェクトについて
本研究は、以下の支援によって実施されました。
・日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(JP23K23248,JP24KK0108,JP22K18979,JP23K04567)
・科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(JPMJFR2036)など
図:テラヘルツ円偏光二色性イメージングおよび分光結果:構造の鏡像関係に対応して、右・左のキラリティ応答が反転する様子が観測される。物質内部に分布するキラリティを二次元画像として可視化できることを示している。
■研究の背景
物質には、右回りのネジと左回りのネジのように、鏡に映した像が元の形と重ならない「キラリティ(鏡像異性)」という性質があります。このキラリティを調べる代表的な手法が「円二色性(CD)計測」であり、創薬や材料科学において広く利用されています。特にテラヘルツ波は、分子集団の振動やタンパク質の高次構造など、物質の「低エネルギー領域」の動きに敏感であるため、可視光や赤外線では見えにくい立体的な「ねじれ」構造を調べる手段として注目されています。しかし、従来のテラヘルツ波によるCD計測は、試料全体を平均的に測定する「点測定」が主流でした。そのため試料内部に異なるキラリティが分布している場合、それぞれの信号が打ち消し合い、局所的な構造情報を取得できないという課題がありました。このような背景から、キラリティの空間分布を直接“見える化”できる新しい計測技術の確立が求められていました。
■研究成果のポイント
1. 世界初の高精度テラヘルツ・キラリティ撮像技術の開発: 3~6テラヘルツという非常に広い周波数帯域で、光の「右巻き・左巻き」を正確に見分けることができる分光イメージング装置を構築した。これにより、髪の毛の太さ程度の空間分解能で、キラリティ分布のマッピングが可能となった。
2. 人工構造体「モアレ」を利用してねじれを自由に設計: 銀の円盤を並べたシートを、わずかに角度をずらして重ねることで生じる「モアレ模様」を利用した。この人工構造体(メタ表面)によって、右回りと左回りのキラリティが複雑に混在する状態を人工的に作り出し、検証モデルとして活用した。
3. 「右ねじれ」と「左ねじれ」の反転現象を直接観測: イメージングの結果、一枚のシートの中に「右巻きの性質を示す領域」と「左巻きの性質を示す領域」が交互に並んでいる様子を可視化した。これは従来の平均化された測定では決して観測できなかった現象である。
4. ミクロ構造とマクロ構造が相互作用する仕組みを解明: 円盤1つ1つの配置(ミクロ構造)と、重ね合わせによって生じる大きな模様(マクロ構造)の両方が、テラヘルツ波との相互作用を支配していることを理論と実験の両面から証明した。
■今後の展望
本研究で確立したイメージングプラットフォームは、今後2~15テラヘルツまでのより広い周波数帯への拡張が期待されます。テラヘルツ波による「ねじれの可視化」は、目に見えないミクロ構造を解析する新しい基盤技術として、以下のような分野への応用が期待されます。
医療・創薬: タンパク質の異常凝集体(アミロイドなど)の分布を可視化する新しい診断技術
超高速通信: 次世代の通信(6G)で求められる光のねじれを利用した高度な信号制御デバイス評価・検査
新材料開発: 量子材料やソフトマテリアル内部の微細な構造のゆがみを検出し、材料特性の向上に繋げる解析技術
■用語解説
注1)モアレ型メタ表面:2つの規則的な微細構造をわずかにずらして重ねることで生じるモアレ構造を、テラヘルツ波に対して人工的に実現した平面材料。通常は現れない「ねじれ構造」による特異な波動制御が可能となる。
注2)キラリティ(鏡像異性):物体や分子が、鏡に映した像と元の形が重ならない性質のこと。右ねじと左ねじの関係が代表例で、「右向き」「左向き」という向きの違いが物質の性質や働きに大きく影響する。創薬や材料科学では、この違いを見分けることが重要となる。
注3)テラヘルツ(THz)波:電波と光(赤外線)の中間に位置する電磁波で、1秒間に約1兆回振動する周波数帯を持つ。分子や材料の集団的な振動や柔らかい動きに敏感で、可視光では見えない物質の内部構造を調べる手段として注目されている。
注4)円二色性(Circular Dichroism:CD):右回りと左回りに回転する円偏光の光に対して、物質が異なる反応を示す性質のこと。物質の「右ねじれ・左ねじれ」を調べる代表的な手法で、分子や材料の立体構造の解析に広く用いられる。
■論文情報
タイトル:Multiscale chirality in moiré metasurfaces revealed by terahertz circular dichroism spectroscopic imaging
著者:Uina Chiba, Shota Tsuji, Gaku Oritani, Takumi Yoichi, Rinpei Sasaki, Takeo Minari, Seigo Ohno, Katsuhiko Miyamoto
雑誌名:ACS Photonics
DOI:10.1021/acsphotonics.6c00372
■研究プロジェクトについて
本研究は、以下の支援によって実施されました。
・日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(JP23K23248,JP24KK0108,JP22K18979,JP23K04567)
・科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(JPMJFR2036)など
よくある質問
この研究で開発された技術の核心は何ですか?
銀の微細な円盤を重ねた「モアレ型メタ表面」を使い、テラヘルツ波によって物質のキラリティ(右ねじれ・左ねじれ)の空間分布を二次元画像として直接観測できる分光イメージング技術です。
従来のテラヘルツ円二色性計測と何が違いますか?
従来は試料全体の平均情報しか得られず、場所ごとのキラリティの違いを捉えられませんでしたが、本技術は空間分解能を持ち、異なるキラリティが混在する様子を可視化できます。
この研究成果はいつ、どこに発表されましたか?
2026年6月2日(米国東部時間)に、学術誌『ACS Photonics』に掲載されました。
この技術はどのような分野への応用が期待されていますか?
医療・創薬(タンパク質異常凝集体の可視化)、超高速通信(6Gデバイス評価)、新材料開発(量子材料やソフトマテリアルの構造解析)などが期待されています。
研究を支援した主なプロジェクトは何ですか?
日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業(JP23K23248など)および科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(JPMJFR2036)などの支援を受けています。