製造業向けAIデータプラットフォームを提供するキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤勇志郎、以下「キャディ」)は、製造業に従事する196名を対象に、東南アジアとのサプライチェーンに関するパワー・アジア実態調査を実施しました。その結果、東南アジアのサプライチェーンリスクを「データで定量的に把握・管理できている」企業はわずか約1割にとどまり、約8割の企業がリスクをデータで捉えられていない実態が明らかになりました。

2026年4月15日、日本政府は中東エネルギー危機を背景に、東南アジア諸国との連携強化を目的とした総額約1.6兆円規模の枠組み「パワー・アジア(エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ)」を発表しました。東南アジアに生産・調達拠点を持つ日系製造業にとって、自社のサプライチェーンへの影響を正確に把握し、迅速に対応できる体制を整えることが急務となっています。その発表から約2ヶ月が経過し、政府の枠組みが始動する中で、製造業の現場はどのように変化しているのかその実態を調査しました。

調査サマリー

- パワー・アジアを「ほとんど知らない・全く知らない」製造業は79.1%。「内容まで理解している」はわずか2.6%

- 東南アジア経由で影響が出ていると回答した企業のうち、約7割69.6%)が「データでの把握はできていない」と回答。

- 「十分対応できる体制がある」企業はわずか6.6%8割超が体制・方向性の面で課題を抱えている。

- 最も多く挙げられた課題はエネルギーコスト上昇による東南アジア拠点のコスト増(25.5%)。次いで拠点での生産・稼働の不安定化(19.9%)。

調査結果① 製造業の約8割がパワー・アジアを「知らない」

パワー・アジアについての認知を尋ねたところ、「ほとんど知らない」が55.1%、「全く知らない」が24.0%と、合計79.1%が実質的に内容を十分に把握していませんでした。「内容まで理解している」と回答した企業はわずか2.6%にとどまりました。

日本政府が1.6兆円規模の枠組みを打ち出した一方で、当事者である製造業の現場への情報浸透は限定的であることが浮き彫りになりました。

調査結果② 製造業の3割、東南アジア経由でサプライチェーンへの影響をすでに実感

中東情勢の悪化やエネルギー供給の不安定化が、東南アジア経由で自社のサプライチェーンに影響しているかを尋ねたところ、「東南アジア経由で大きな影響が出ている」が4.1%、「東南アジア経由である程度影響が出ている」が24.5%と、合計28.6%がすでに影響を実感していると回答しました。

調査結果③「影響が出ている」企業の約7割、データで把握できず

東南アジア経由でサプライチェーンへの影響が出ていると回答した企業(n=56)に絞ってリスク把握状況を確認すると、「データで定量的に把握・管理できている」と答えたのは16.1%。「リスクは認識しているがデータで把握できていない」「どの程度かは不明」を合わせた69.6%がデータによる定量把握ができていませんでした。

影響を実感している企業においても、その被害規模を定量的に把握できていないという現実は、多くの企業が『課題には気づいているものの、対策を打てない』という構造的な停滞に陥っていることを示しています。エネルギーコスト上昇や調達遅延といった実害が生じているにもかかわらず、意思決定に必要なデータが手元にない状態です。

東南アジアとのサプライチェーンで生じている主な影響・課題(複数回答、n=196)

影響・課題

選択率

エネルギーコスト上昇による東南アジア拠点のコスト増

25.5%

東南アジア拠点での生産・稼働の不安定化

19.9%

東南アジアからの原材料・部品調達の遅延

15.3%

東南アジア域内の物流停滞・輸送遅延

10.7%

東南アジア拠点との調整・コミュニケーション負荷の増加

7.1%

代替調達(東南アジア外含む)の検討が必要になった

5.6%

調査結果④ 「データで把握できている」1割と「できていない」9割の分断

全回答者のリスク把握状況を見ると、東南アジアのサプライチェーンリスクを「データで定量的に把握・管理できている」と答えた企業は9.7%にとどまりました。一方、「リスクは認識しているがデータでの把握はできていない」が23.5%、「リスクがあることはわかるが、どの程度かは不明」が28.1%、「分からない」が30.1%と、データによる定量把握ができていない企業が約8割を占めました。

東南アジアへの依存度が「やや高い〜非常に高い」層(n=29)に対象を絞っても、データで把握できていない企業は58.6%。依存度が高いほど経営への影響は大きくなるはずですが、依然として過半数がリスクを可視化できていません。

パワー・アジアのような政府の枠組みを活かせるかどうかは、「自社がどこで何にどれだけ依存しているか」を把握しているかどうかに直結します。データを持つ企業は迅速に対応判断ができる一方、持たない企業は有効な手が打てないまま事態が進む——このデータ格差が、今後の競争力の分岐点になる可能性があります。

調査結果⑤ 「十分対応できる」企業は6.6%——対応力の二極化が鮮明に

パワー・アジアのような地政学リスク対応枠組みが動き出す中で自社のサプライチェーン対応力を尋ねたところ、「十分対応できる体制がある」と回答した企業はわずか6.6%。「対応の方向性はあるが、データ・体制が追いついていない」が26.5%、「対応が必要とは思うが、何から手をつければよいか分からない」が12.8%、「分からない」が41.3%でした。

Q5の「データで把握できている」層とQ6の「十分対応できる」層を重ね合わせると、明確な傾向が見えます。リスクをデータで定量的に把握・管理できている企業(n=19)では「十分対応できる体制がある」が42.1%と最も高い一方、リスクは認識しているがデータで把握できていない企業(n=46)では2.2%にとどまり、過半数(56.5%)が「対応の方向性はあるが、データ・体制が追いついていない」と回答しました。

解説

今回の調査結果は、現場で日々感じていた問題構造を、数字で可視化したものです。タイを起点にベトナム、インドネシア、インドといったアジア諸国で製造業の現場支援に携わってきましたが、データなき意思決定は企業を後手に回らせます。その実態を今回の調査は改めて浮き彫りにしたと感じています。

東南アジアのサプライチェーンは、中東情勢や物流の不安定化が波及するだけでなく、中国系企業の台頭による調達先の流動化も加速しています。「影響を実感している」にもかかわらず約7割がデータで把握できていないという今回の結果は、危機が「認識」にとどまり「経営判断」に届いていないことを示しています。

一方で、パワー・アジアという政府の枠組みが動き出したいまこそ、大きなチャンスがあります。東南アジアで長年積み上げてきた製造業の現場資産を、データという武器と組み合わせることで、不確実な時代に強み

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 製品・サービス:AIデータプラットフォーム