【国立科学博物館】皇居で見つかった生物が累計7,982種に達する~皇居生物相調査(第Ⅲ期)成果公表~

独立行政法人国立科学博物館は、2021年9月から2026年3月にかけて実施した「皇居生物相調査(第Ⅲ期)」の成果をまとめた専報を刊行し、「皇居の生きものデータベース」を公開した。第Ⅲ期調査ではシアノバクテリアの新種などを含む2,178種が確認され、第Ⅰ期からの累積と文献記録を合わせると皇居の生物は累計7,982種に達した。
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  • 📰 発表: 2026年5月22日 23:00
  • 🔍 収集: 2026年5月22日 14:31
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独立行政法人国立科学博物館(館長:真鍋 真)は、当館の総合研究「過去150年の都市環境における生物相変遷に関する研究―皇居を中心とした都心での収集標本の解析」の一環として、2021年9月から2026年3月まで実施した「皇居生物相調査(第Ⅲ期)」の成果を取りまとめ、国立科学博物館専報第53号「皇居生物相調査(第Ⅲ期):植物・菌類・藻類・シアノバクテリア」および第54号「皇居生物相調査(第Ⅲ期).動物相」を2026年3月末に刊行しました。

さらに、これらの生物相に関する「皇居の生きものデータベース」をこの度公開することとなりました。本プレスリリースは、このデータベースの公開に合わせ、報告書に取りまとめた第Ⅲ期調査の主な成果をお知らせするものです。

本研究では、皇居の生物相を幅広く把握するとともに、シアノバクテリアの新種1種、日本新産種として地衣類8種、菌類13種、寄生蠕虫2種が確認されたほか、外来種、絶滅危惧種、環境変化に伴う分布や開花期の変化などが明らかにされました。

当館がこれまで実施してきた30年間にわたる第Ⅰ期から第Ⅲ期までの調査・研究および文献で確認された種数を合計すると、皇居で確認された生物は累計7,982種に達しました。この記録は都心の大規模緑地における多様性としては極めて高いものであり、人為的影響が比較的少なく保たれてきた皇居の多様な自然環境に加え、多分野の研究者による継続的な調査によって明らかになったものです。

皇居は、東京という高度に都市化された環境の中心部に位置する数少ない大規模緑地の一つです。昭和天皇の「できるだけ自然のままに」というご意向のもと、戦前より人為的改変や攪乱が比較的少ない状態で管理が続けられてきました。皇居内には森林や草地、石垣に加え、濠、池、小川などの水域が存在し、陸域と水域が連続した多様な環境が形成されています(図1, 2)。

図1.植物分野の皇居内調査環境.A. 道灌濠.B. 大滝.C. 吹上御苑の梅林.D. 半蔵門付近の石垣.E. 上道灌濠付近の常緑広葉樹林.F. 吹上御苑の落葉広葉樹林.G. 乾通り.H. 東御苑(黄花の植物は外来種のコセンダングサ)。

図2.皇居内の多様な動物相調査環境.A,昆虫の調査環境1(覆馬場跡);B,同左2(大滝);C,同左3(旧プール);D,同左4(中道灌濠);E,クマムシ類の調査環境(大木の樹幹基部のコケを採取);F,魚類の調査環境(乾濠)。

皇居生物相調査は、「皇居内の生物について正確な記録を残し、その後の経年変化などを把握することが望ましい」と願われた上皇陛下のお気持ちを発端として始まりました。これを受けて、国立科学博物館は1996年(平成8年)から5カ年かけて詳細な生物調査(第Ⅰ期)を実施し、2000年(平成12年)12月に調査結果がとりまとめられました。その後の動物相に関する追跡調査結果が2006年(平成18年)3月に公表され、さらに2009年5月から開始された第Ⅱ期調査の結果が2014年(平成26年)3月に公表されました。第Ⅱ期調査終了時には5,903種(植物分野1,616種、動物相4,287種)が明らかにされました(注釈:変種や品種などの分類群を便宜的に「種」と表記)。

第Ⅲ期調査では、宮内庁の協力のもと環境の変化に伴う皇居の生物相の変化の把握、外来種の侵入状況の確認、DNA情報を用いた比較解析などを目的とし、新種、日本新産種、絶滅危惧種などを含む植物分野619種、動物相1,559種、あわせて2,178種が確認されました。これらのうち第Ⅲ期調査で新たに確認されたのは552種でした(新規採集品および未同定の収蔵標本の新規同定を含む)。第Ⅰ期からの累積確認数に文献で確認された種数を合計すると、植物分野2,637種、動物相5,345種となり、皇居で確認された生物は計7,982種に達しました。また、他地域で未確認だった種内系統群や特徴的な群集構造の検出、都市温暖化に伴う生物の季節活動や分布の変化の検出など、多様な知見が得られました。

植物分野では、外来植物、水生植物、コケ植物、大型藻類、微細藻類、地衣類、菌類、不完全菌類、送粉ネットワーク、開花調査分析の10班に分かれ、皇居内の森林、草地、石垣、濠、池、小川など多様な陸域・水域環境を対象に調査を行いました。今回の調査では、外来植物17種、水生維管束植物37種、コケ植物117種、大型藻類9種、微細藻類56種、地衣類関連110種、菌類277種が確認されました。とくに、シアノバクテリアの新種オスキラトリア・インペリアリスOscillatoria imperialis(図3)が記載されたほか、地衣類8種、菌類13種(コウヤクタケ類、ケカビ類、変形菌類を含む)など複数の日本新産種

よくある質問

皇居生物相調査(第Ⅲ期)で新たに発見された新種は何ですか?

シアノバクテリアの新種であるオスキラトリア・インペリアリス(Oscillatoria imperialis)が新たに発見されました。

これまでの調査で皇居内で確認された生物は合計何種ですか?

第Ⅰ期から第Ⅲ期までの調査と文献記録を合わせると、累計7,982種(植物分野2,637種、動物相5,345種)が確認されています。

第Ⅲ期調査では何種類の生物が新たに確認されましたか?

第Ⅲ期調査では植物分野と動物相あわせて2,178種が確認され、そのうち552種が新たに確認された種です。

皇居生物相調査はいつ、どのようなきっかけで始まりましたか?

上皇陛下が「皇居内の生物について正確な記録を残し、経年変化を把握することが望ましい」と願われたことを発端として、1996年(平成8年)から第Ⅰ期調査が始まりました。

皇居の生物多様性が高い理由は何ですか?

昭和天皇の「できるだけ自然のままに」というご意向のもと、戦前より人為的改変が少なく管理されてきたことと、森林や水域など多様な環境が形成されているためです。