【徳島大学】420 GHz 超で初の100 Gbps 級無線通信を実証~Photonic 6G に向けた超高速モバイル・バックホール技術~

徳島大学と岐阜大学の研究グループは、光ファイバー接続マイクロ光コムを用いたテラヘルツ通信により、560 GHz帯で単一チャネル112 Gbpsの無線伝送を実証した。これは電子技術の限界を超える成果であり、2030年代の6Gにおける超高速モバイル・バックホール通信の基盤技術となる。
調査NQ 80/100出典:PR Times

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  • 📰 発表: 2026年5月19日 18:00
  • 🔍 収集: 2026年5月19日 09:31
  • 🤖 AI分析完了: 2026年5月19日 20:35(収集から11時間4分後)
■ポイント
・従来の電子技術では350 GHz 超の高周波信号生成が困難であり、6G に向けた超高速無線通信の実現には新たな手法が求められていた。
・光ファイバー接続マイクロ光コムを用いたテラヘルツ通信により、560 GHz 帯で単一チャネル112 Gbps の無線伝送を実証した。
・本成果により、6G における超高速モバイル・バックホール通信や光・無線融合ネットワークの実現に向けた技術基盤の確立が期待される。

■概要
移動通信は、無線キャリア周波数を高周波化することにより、高速・大容量化を進めてきました。2030 年代にサービス開始が見込まれる次世代移動通信(6G)(注1)では、300 GHz 以上のテラヘルツ波の利用が期待されていますが、350 GHz を超える領域では、従来の電子技術による信号生成の限界や位相雑音の増大により、安定かつ高速な無線通信の実現が困難とされていました。

徳島大学ポストLED フォトニクス研究所/フォトニクス健康フロンティア研究院の時実悠講師、岸川博紀准教授、久世直也教授、安井武史教授、徳島大学大学院創成科学研究科の菊原拓海大学院生、徳島大学ポストLED フォトニクス研究所の永妻忠夫客員教授らと、岐阜大学工学部の久武信太郎教授をはじめとする研究グループは、これらの課題を解決するため、光ファイバー接続マイクロ光コム(注2)を用いたテラヘルツ波生成と多値変調技術を組み合わせたマイクロ光コム駆動型テラヘルツ通信システムを開発しました(図1)。本研究では、マイクロ光コムの高安定な周波数特性を活用して低位相雑音のテラヘルツキャリアを生成し、560 GHz 帯において単一チャネル112 Gbps の無線伝送を実証しました。これにより、従来の数十Gbps 級を超える高速化を達成しました。

本成果は、420 GHz を超える領域における100 Gbps 級無線通信の実現可能性を初めて示したものであり、6G における超高速バックホール通信や光無線融合ネットワークの実現に向けた重要な技術基盤となることが期待されます。

■研究の背景と経緯
移動通信は、無線キャリア周波数を高周波化することにより、高速・大容量化を実現してきました。第5 世代(5G)通信ではミリ波帯が利用されていますが、今後の通信需要のさらなる増大に対応するため、2030 年代の実用化が見込まれる次世代移動通信(6G)では、300 GHz 以上のテラヘルツ波の利用が期待されています。特に350GHz を超える領域は、広帯域を活用した超高速通信が可能な一方で、従来の電子技術による高周波信号生成には限界があり、出力の低下や位相雑音の増大といった課題が顕在化しています。そのため、安定かつ高品質な信号を生成できる新たな技術の確立が求められてきました。

このような背景のもと、本研究グループは電子技術に代わる手法として光技術に着目し、光周波数コムの一種であるマイクロ光コムを用いたテラヘルツ信号生成及び無線通信への応用、すなわちマイクロ光コム駆動型テラヘルツ通信(Photonic 6G(注3))に関する研究を進めてきました。マイクロ光コムは、高い周波数安定性と低位相雑音特性を有し、その広い周波数間隔を活かして、テラヘルツ帯における高品質な無線キャリア生成を可能にする有望な技術として注目されています。しかし、350 GHz を超える領域では、安定な高周波信号の生成と高次変調による高速データ伝送を両立することが難しく、実用的な無線通信の実現には至っていませんでした。

本研究は、このような背景のもと、350 GHz を超える領域における超高速無線通信の実現に向けた技術的課題を解決し、100 Gbps 級通信の実証を目指したものです。

■研究の内容と成果
本研究では、まず安定かつ小型なテラヘルツ信号源の実現に向けて、光ファイバー接続型の微小光共振器を用いたマイクロ光コムデバイスを開発しました。窒化シリコン製の微小光共振器に対し、光ファイバーを光学接着剤により直接接合する構造を採用することで、従来必要とされていた光学顕微鏡観測や多軸ステージによる精密な光学調整を不要とし、装置の大幅な小型化を実現しました(図2)。さらに、この構成により励起光カップリング効率の時間安定性を大幅に向上させ、高出力励起光の利用を可能にしました。その結果、長時間にわたる安定動作が可能となり、テラヘルツ帯における高安定・低雑音な信号生成の基盤技術を確立しました。

次に、この光ファイバー接続マイクロ光コムを用いたテラヘルツ無線通信システムを構築しました。マイクロ光コムの光注入同期により高安定・高信号対雑音比の2 波長光キャリアを生成し、光領域で多値変調(QPSK 及び16QAM)を付与しました。その後、フォトミキシングにより560 GHz の多値変調テラヘルツ波を生成し、変調信号を無線搬送しました。受信側ではサブハーモニックミキサーを用いたヘテロダイン検出により信号を復調しました。その結果、QPSK 変調において84 Gbps、16QAM変調において112 Gbps の無線伝送を達成しました(図3)。これは、420 GHz 以上の未踏周波数帯において、初めて100 Gbps 級無線通信を実証した成果です。

■今後の展開
本研究により、350 GHz を超えるテラヘルツ帯において100 Gbps 級無線通信が実現可能であることが示され、6G における超高速モバイル・バックホール通信や光・無線融合ネットワークの実現に向けた重要な技術基盤が確立されました。今後は、マイクロ光コムのさらなる低位相雑音化により信号品質を向上させることで、より高次の変調方式を適用した一層の高速・大容量通信の実現が期待されます。また、実用的な通信距離の拡張に向けては、大気吸収の影響が小さい周波数帯の選択に加え、テラヘルツ波の高出力化や高利得アンテナの導入が有効です。これらの技術を組み合わせることで、テラヘルツ無線通信の実用化が加速し、次世代通信インフラへの応用が期待されます。

よくある質問

徳島大学が実証した6G向け通信技術の特徴は何ですか?

従来の電子技術では困難な350GHz超の帯域において、光技術の「マイクロ光コム」を用いることで、560GHz帯での単一チャネル112Gbpsの超高速無線通信を可能にした点です。

光ファイバー接続マイクロ光コムのメリットは何ですか?

微小光共振器に光ファイバーを直接接着することで、精密な光学調整を不要にし、装置の大幅な小型化と長期間の安定動作を実現するメリットがあります。

この技術が実用化されると何が変わりますか?

2030年代に普及予定の6G通信において、基地局間をつなぐ大容量のバックホール回線が整備され、超高速・大容量かつ低遅延な光・無線融合ネットワークが実現します。