米環境NGO レインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国サンフランシスコ、日本:東京都渋谷区、以下RAN)をはじめとするNGOは本日9日、新報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026〜気候カオスをもたらす銀行業務〜』(注1、第17版、 日本語要約版、英語名: Banking on Climate Chaos 2026)を発表しました。

本報告書は、世界の上位65行による約2,900社の化石燃料企業への融資・引受をまとめた年次報告書です。分析の結果、2025年に銀行から化石燃料産業に提供された金額は9,060億ドルで、2024年に比べて8%増加したことがわかりました。 また、パリ協定発効後の10年間に、石油、ガス、石炭企業に提供された金額は8.7兆ドルでした。本報告書は、民間銀行による化石燃料への資金提供に関する世界で最も包括的なオープンデータです。

図1:「化石燃料ファイナンス」2025年世界ランキング(化石燃料全部門への融資・引受額、単位=米ドル

報告書では、JPモルガン・チェースが今回も世界最大の化石燃料資金提供者で、2025年には化石燃料企業に580億ドルを投じ、前年比で12.6%増加したことも明らかにしています。続いてバンク・オブ・アメリカが2位で470億ドル、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が470億ドルで3位となり、前年比で21%も増加しました。 他のメガバンクはみずほフィナンシャルグループ(みずほ)が4位、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)が9位でした。これら化石燃料ファイナンス上位12行の提供額は、約2,000に及ぶ世界の銀行による総額の40%近くを占めています。

また、化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額は2025年27%急増し、5,080億ドルに達しました。このような資金提供は、地球温暖化を1.5度に抑えるという目標とは相容れないものです。

2020年代のエネルギー危機(ロシアによるウクライナ侵攻と、米国とイスラエルによるイラン攻撃)は、化石燃料への依存が世界的な不安定さの構造的要因であることを示しています。化石燃料を輸入する国々に住む世界人口の4分の3の人々が、供給が途絶えるたびにその代償を支払っています。

『化石燃料ファイナンス報告書2026』概要・主な調査結果

世界の主要民間銀行65行が化石燃料部門に行った資金提供(融資・引受)を示した包括的な報告書。化石燃料企業約2,900社への資金提供について調査・分析。対象期間は国際エネルギー機関(IEA)が「ネットゼロ・ロードマップ」(注2)を発表した2021年2025年で、年別、累計額を集計。化石燃料産業全体、化石燃料拡大企業への資金提供ごとに集計・分析(これまでと異なり、LNG (液化天然ガス)、オイルサンドなど部門別のランキングは発表しないが、上流・中流・下流の各部門別、および石油・ガス・石炭といった燃料別のデータは掲載している)。パリ協定が発効した2016年2025年の全体的な傾向の分析も一部掲載。

調査結果

化石燃料企業への資金提供(2025年):9,320億ドル(2024年比 +9%

化石燃料企業への資金提供(パリ協定発効以降、2016〜2025年):8.6兆ドル(石油、ガス、石炭部門)

化石燃料拡大企業への資金提供(2025年):5,080億ドル(2024年比 +27% = 過去最高)

米国の銀行による化石燃料への資金提供は世界総額の32%を占め、2021年28%から増加し、世界最大の化石燃料資本の供給源となっている。欧州の銀行は明確な減少傾向を示している。 BNPパリバは化石燃料関連の取引を28%、UBSは36%、ラ・カイシャは34%削減した。一方、スタンダードチャータードは28%増加し、ドイツ銀行は20%、HSBCは16%増加した。

気候変動対策における銀行の自主的な取り組みの効果が限定的であること、そしてより強い規制措置の必要性を強調している。「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の崩壊後、各行は方針を弱体化した。調査対象の北米の銀行15行のうち、12行は化石燃料に関する実質的な方針を持っていない。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは、石炭および北極圏へのファイナンスの除外方針を放棄し、状況に応じて対応するデューデリジェンス基準へと変更した。

日本の3メガバンクの傾向

日本の3メガバンクは、2025年の資金提供でワースト12行に入った(MUFG 3位、みずほ 4位、SMBC 9位)。3行の合計額は1,250億ドルで、65行のうち3行だけで全体の13.7%以上を占めた。化石燃料事業を拡大している企業への2025年の資金提供額でもみずほが2位、MUFGが4位、SMBCが9位と上位を占めた。

図2:メガバンクによる化石燃料ファイナンスの比較(単位:百万米ドル)

図3(左):メガバンクによる化石燃料への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル図4(右):メガバンクによる化石燃料拡大企業への資金提供(融資・引受)推移(単位:百万米ドル)

メガバンクは特にLNG事業の拡大を行う企業に資金提供を行っている。大規模なLNG拡大計画を持つ企業(注3)への提供額でMUFGが1位、みずほが3位、SMBCが5位となった(2025年)。3行による化石燃料ファイナンスの大部分は、米国に拠点を置く化石燃料企業に提供されている。

図5 日本の銀行による資金提供 国・地域別構成比(化石燃料企業の所在国別、2025年

化石燃料部門別の動向・主な調査結果

(▲は2024年から2025年にかけて資金提供が増加したことを示す)

▲中流部門とLNG(メタンガス)ブーム:上位65行は2025年、化石燃料の中流事業を拡大する企業への資金提供額を前年比で184%、すなわち1,160億ドルも増加させた。銀行からの資金提供額が2025年に最も多かった3社は、いずれも石油・ガスの中流部門の事業者だった。LNGは最も急成長している分野だが、LNG輸出基地(ターミナル)へのファイナンスを排除する方針を定めている銀行は上位65行中わずか5行である。ベンチャー・グローバル社(米国、注4)は、化石燃料企業としては最大額の330億ドルを2025年に借り入れ、LNG企業が地政学的紛争を利用して巨額の利益を得ている実態を示している。

▲ 上流(生産・探索)への資金提供:1,920億ドルから2,170億ドルに増加。

▲ 中流(処理・貯留・パイプライン輸送)への資金提供:1,390億ドルから2,550億ドルに増加。

▲ ガス発電への資金提供:1,540億ドルから1,990億ドルに増加。

▲ 石炭採掘の拡大:2025年に資金提供額が77%急増し、現在は840億ドルに達している。

▲ 石炭火力発電の拡大:1年間で40%増加し、現在は810億ドルに達している。

執筆者および執筆団体からのコメント

ニコ・ルシアニ、RANリサーチ・ディレクター(共同執筆者)

「ウォール街の銀行の最大の関心は利益保護です。私たちの最大の関

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査
  • 関連組織:JPモルガン・チェース / バンク・オブ・アメリカ / 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 製品・サービス:化石燃料ファイナンス報告書2026